『北方領土交渉秘録−失われた五度の機会−』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
1日5冊紹介(当分)。
 

北方領土交渉秘録―失われた五度の機会 (新潮文庫)

北方領土交渉秘録―失われた五度の機会 (新潮文庫)

★『北方領土交渉秘録−失われた五度の機会−』(東郷和彦/新潮社/740円)【→amazon
日本外交にとって戦後最大の未解決問題である北方領土。1985年、ソ連ゴルバチョフ書記長が登場して以降、膠着した事態を打開する「機会の窓」は五度開いていた。にもかかわらず、日本政府がそれらを活かせなかったのはなぜか。終戦時外相だった祖父と、駐米大使を務めた父の志を継ぎ、日露領土交渉に心血を注ぎ続けてきた著者が、痛憤と悔恨を込めて綴る緊迫の外交ドキュメント。
 
皇位継承 (文春新書)

皇位継承 (文春新書)

★『皇位継承』(高橋紘所功/文藝春秋/725円)【→amazon
もし、このまま皇室に男子の誕生がなければ、やがて皇位継承者がいなくなるかもしれない。現在の憲法皇室典範では、女性天皇を認めていないし、皇族が養子を迎えることも、一度臣籍に下った旧皇族が復籍することも、認められていない。親王の誕生を祈ることは勿論だが、それとは全く別に、皇室典範の根本的なディレンマを解消すべきなのだ。
 
都庁―もうひとつの政府 (岩波新書)

都庁―もうひとつの政府 (岩波新書)

★『都庁−もうひとつの政府−』(佐々木信夫/岩波書店/735円)【→amazon
人口3000万首都圏の中心にそびえる東京都庁。一国の政府にも匹敵する規模でありながら、その内側はほとんど知られていない。いったい都政の舵とりは、どこでどのように行われているのか。政策マンとして十数年都庁に勤務した著者が、知事職、人事、予算編成、政策形成、議会と選挙などの実情を明らかにし、明日の都庁と都政を考える。
 ★『日本人の住まい−生きる場のかたちとその変遷−』(宮本常一 田村善次郎/編/農山漁村文化協会/2800円)【→amazon
日本人の住まいのかたちは、どのようにして形成されてきたのだろう。それは日本各地の暮らし方や生産のあり方、家族のかたちの変遷とどのように結びついてきたのだろうか。たとえば土間の広い家と狭い家があるのはなぜか。仏壇は住まいのかたちにどのような影響を与えたか。土間の家と高床の高はどのようにして結びついていったのか。カマドとイロリは炊事法や家の構造とともにどう変遷したのか。庶民の住まいに便所や風呂ができるのはいつごろからか。広範な全国に及ぶフィールドワークの見聞と体験を通して日本の民家を庶民の「生きる場」という視点から見続けた宮本常一の刺激的な民家論。
 
描かれた被差別部落――映画の中の自画像と他者像

描かれた被差別部落――映画の中の自画像と他者像

★『描かれた被差別部落−映画の中の自画像と他者像−』(黒川みどり/岩波書店/2940円)【→amazon
戦後民主化にともなう差別解消への希望を込めた一九四八年の「破戒」、部落解放運動に寄り添う形で作られた一九六〇年の「人間みな兄弟」、同様の意図のもと作られながらも部落解放同盟からその「差別性」を糾弾された一九六九、七〇年の「橋のない川」(九一年には部落解放同盟自身が製作に携わる形で再映画化される)、そして当事者自身による「語り」を全面に押し出した一九八六年の「人間の街」と八八年の「家族」―映画のなかに描かれた被差別部落の姿と、それへの被差別当事者の応答や対抗のなかに、戦後部落問題をかたちづくる社会意識のありようを探る意欲的な試み。