朝日新聞1955年4月3日の記事「エログロ出版は致しません 出版団体連合会 業界浄化に乗出す」

 悪書追放運動当時の新聞テキストから。誤字とか読み間違いはお許しください。
 だらだらと当時の新聞記事の事実報道を載せてみます。

エログロ出版は致しません 出版団体連合会 業界浄化に乗出す
 
 不良出版物を追放しようという運動が最近全国各地の婦人会やPTAの間で起っているが、出版界自体にも自粛の声が高まり、全国出版業者のほとんどを集めた出版団体連合会(尾張真之介会長)では新たに出版浄化実行委員会(仮称)を設け、業界一致しエロ、グロ本の一掃のため大運動を展開することになった。
 
 出版業界の浄化運動についてはさきに日本出版協会から声明書が出され、業界への呼びかけがあったが、出団連でこのほど臨時代表者会議を開いたところ、この際早急に自粛運動を具体化しなければ、立法規制という事態を生じ、その場合には不良出版物の取締りどころか言論、出版の自由をも侵害される危険性があると出席した十一団体の代表者全員の意見が一致、委員会を中心にこの運動を推進することになった。
 同委員会には準備委員に日本出版協会専務理事川崎文治氏、岩波書店編集部第一部長布川角左衛門氏、婦人画報社専務本吉信雄氏らがあげられ、雑誌、書籍部門からも委員を選定のうえ来週中にも発足する。
 運動の方向としては(1)エロ・グロ出版はやらぬという業者間の申合せはもちろんのこと(2)取次店、小売店のルートから悪書をしめ出させる(3)読者層の認識を深めるため講演会、座談会を開催、学校やPTAにも呼びかけるとともに、政府に対しては、取締法の立法化の阻止、また学校図書館などが形だけのため、学童が利用しないで悪書に走る傾向もあるので図書館助成補助金の増額、健全な出版業者の権利を擁護するための出版法の強化、などを要望する、ことを取上げる方針である。
 日本出版協会川崎文治氏の話 一部悪徳業者の行為だといって業界が知らぬ顔をしているわけにはゆかない。しかし出版は文化事業だとすれば、たとえ読む人がいてもいかがわしい書物を提供することは許されないはずだ。両書の普及をはかるとともに腰をすえて業界の清浄化を行いたい。

 ここで語られていることは「悪書=漫画」ということではないです。
 とりあえず「日本出版協会」の声明書探してみますですかね…。
 
「悪書追放運動」に関するもくじリンク集を作りました。
1955年の悪書追放運動に関するもくじリンク