木下黄太さん、なんで元記事の「(等価線量)」を除いてツイートしてるの?
140って字数の問題?
問題のツイート。
→https://twitter.com/#!/KinositaKouta/status/195613430303047680
弘前大被ばく医療総合研究所の床次真司教授は津島地区の住民を対象にヨウ素の被ばく量を測定。体内のヨウ素131を基に、3/12の1日で吸い込んだと仮定試算。甲状腺に与えた放射線の影響は成人で最大87ミリシーベルト。1歳児に単純換算すると700ミリシーベルトを超え。(河北新報より)
→http://twitter.com/KinositaKouta/status/195615192380489728
浪江町津島地区ではヨウ素だけで87ミリシーベルト被ばくしていたとしたら、他の核種も含め、凄まじい初期被曝をしていたことになる。
多分これ。元記事の関連部分。
→河北新報ニュース 第2部・迷走(3)怠慢/ヨウ素被ばくを看過
(前略)
弘前大被ばく医療総合研究所の床次真司教授は昨年4月12〜16日、津島地区の住民ら62人を対象にヨウ素による被ばく量を測定した。測定機の重さは2キロにすぎない。
<成人最大87ミリシーベルト>
体内に残っていたヨウ素131を基に、1カ月前の3月12日の1日で吸い込んだと仮定して試算すると、甲状腺に与えた放射線の影響(等価線量)は成人で最大87ミリシーベルトにもなった。その数値を1歳児に単純換算すると700ミリシーベルトを超える。もちろん外にいた時間や空中のヨウ素濃度によって、この数値は大きく変わる。
…まさか木下黄太さん、「等価線量」と「実効線量」の違い分ってないとか? ないよね、1年放射能の話してて、
http://twitter.com/KinositaKouta/status/195457660341059585
放射性物質の微粒子のことを勉強してください。@tatsuva
http://twitter.com/KinositaKouta/status/195317797646114816
放射性物質のことを勉強してください。@ramen306
なんて言ってるんで。
もう一月以上前にまとめができてるんで、興味のあるかたは目を通してみてください。
→等価線量と実効線量の説明 - Togetter
→記事は等価線量と実効線量どちらかわかるようにしてほしい - Togetter
→小児甲状腺の被曝について 等価線量と実効線量の違い - Togetter
→5歳児(体重18K)のCs137 経口摂取時の実効線量換算係数を計算:MAKIRINさんのつぶやきから - Togetter
ぼくは木下黄太さんは、「凄まじい初期被曝」ということを強調して言いたいために、元記事の「等価線量」を故意に抜いたと判断します。じゃないと「1年間放射能の話をしていながら何もしらない馬鹿」ということになっちゃうんで。
さらに、元記事(原文)がどこにあるか、リンクを添付していない引用も不適切だと判断します。
分かりやすい解説。
→甲状腺等価線量と実効線量について(放射線と原子力発電所事故についてのできるだけ短くてわかりやすくて正確な解説)
等価線量と実効線量
(食物や飲料といっしょにせよ、呼吸といっしょにせよ)体内に取り込まれたヨウ素 131 は、ほとんどが甲状腺に取り込まれてしまう。これは、甲状腺がヨウ素を必要としており、取り込む働きをもっているからだ(甲状腺は安定同位体のヨウ素と放射性のヨウ素を区別できない)。つまり、ヨウ素 131 によって、体のなかでも甲状腺だけが被ばくし、ほかの組織はほとんど被ばくしない。
言い換えれば、ヨウ素 131 を体内に取り込んだ際には、甲状腺の等価線量に比べたとき、他の組織の等価線量は無視できるほど小さいのである。仮に、一定量のヨウ素 131 による甲状腺等価線量が 25 mSv だったとすると、これは「甲状腺だけが 25 mSv の放射線にさらされ、ほかの組織はまったく放射線を浴びない」という状況と(ほぼ)同じとみなせるということになる。
この場合の実効線量はどうなるだろうか? ICRP 2007 での甲状腺の組織加重係数は 0.04(ICRP 90 では 0.05 だった)なので、 25 mSv を 0.04 倍した 1 mSv が実効線量ということになる(正確に言うと、ほかの組織の等価線量に荷重係数をかけたものを足し合わせるわけだが、その寄与は小さい)。
ここで急に数字が小さくなったので「ごまかされた」と感じる人がいるようだ。
もちろん、そんなことはない。甲状腺等価線量というのは、甲状腺という(敏感で大事だけれど)小さな一つの臓器のみへの被ばくの影響を表わす数値だ。それに対して、実効線量は全身への被ばくに関わる量だから、話がぜんぜん違うのだ。
実効線量の考え方が、
「甲状腺だけに 25 mSv 被ばくしたときの健康への害」が「全身に 1 mSv 被ばくする際の健康への害」と等しい
だったことを思い出そう(解説「実効線量とは何か」)。 ヨウ素 131 による内部被ばくについて議論する際に、甲状腺等価線量の値だけが参照されることがある。そうすると、実効線量で考えるよりも 25 倍も大きい値が出てくることになる。
通常、「○○ mSv の被ばくで、この程度のリスク」とか「年間の被ばく量を △△ mSv 以下におさえよう」といった話をするときには(組織の等価線量ではなく)実効線量を使っている。同じシーベルトの単位の量だからといって、このような文脈で甲状腺等価線量を持ち出してしまうと、被ばく量を 25 倍も大きめに勘違いしてしまうことになるのだ。甲状腺等価線量は、0.04 をかけて実効線量に直してから話を進めなくてはならない(それにしても、分かりにくい仕組みだ。等価線量には別の単位を使うなど、分かりやすくする余地はいくらでもあるのになあというのが正直な感想)。
要するに、記事的には実効線量的にはほぼヨウ素は4.35mSv。
他の核種もあったりしてえらいこっちゃ、だけど、「成人で最大87ミリシーベルト」と書いてある通り、みんなそれより少ないし、多分1歳児がいた可能性は少ないし、すごい被曝をした可能性はもっと少ないし、甲状腺がんになる可能性も少ないし、その何十万分の一の確率でなったとしても、手術でほぼ確実に直るはず(死なない)。
ちなみに、
弘前大被ばく医療総合研究所の床次真司教授は津島地区の住民を対象にヨウ素の被ばく量を測定。体内のヨウ素131を基に、3/12の1日で吸い込んだと仮定試算。甲状腺に与えた放射線の影響(等価線量)は成人で最大87mSv。1歳児に単純換算すると700mSvを超え。(河北新報より)
なら140字以内でつぶやけます。
勘違いか故意か無知か不明ですが、必要なところは省かないようにしていただけるとありがたいものであります。