アニメ『氷菓』を舞台化するなら、古典部の部室はこうするしかない(opの絵はおかしい)
これは以下のメモの続きです。
→なぜ舞台・映画・アニメのキャラクターは「右から左」へ動くの?
俺は富野由悠季『映像の原則』で語られている上手・下手(かみて・しもて)の理論は、演劇空間とか宇宙空間のように虚構性の強い場面作りには意味あると思うんだけど、街頭ロケ撮影実写やそれに近いアニメの場合は、照明・道路規制の問題があって理論通りにはいかないんじゃないかと思う。逆に言うと、理論を通そうと思うと不自然になる。
例えば現在放映中のアニメ『アクセル・ワールド』、9話だとハルユキの家にニコがいて、黒雪姫と対決(?)するわけだけど、これ、右に黒雪姫、左にニコになったのは、部屋の構造(入り口とモニターの位置)に由来していて、演劇空間のためではないと思う。
アニメ『アクセル・ワールド』、ゲーム空間では多分演劇的上手・下手(かみて・しもて)手法を使ってると思うんだけど(分析しきれてない。主人公は左で最初戦って右に移動→勝利、みたいな感じ?)、実在空間では、車を右側通行にするわけにはいかなかったりするし。
…とか言ってたら、アニメ『けいおん!』では、叡山電車が堂々と右側通行してる、という情報をいただきました(@manrikiさんどうもありがとうございます)。これ、演出的にどういう意味があるのかさっぱり分からない。
とはいえ、たとえば学校の中は普通右側通行で、通路が北側といういう構造をしているから、窓を背景にして左から右へ歩いている子の「前」(手前)を、右から左へ走る子は、渡り通路以外にはあり得ない、と思う。左から右へ歩く子の「奥」を右から左へ走る、と思う(想像してみて)。廊下で出会う、というのは、涼宮ハルヒ・シリーズの鶴屋さんぐらいしか思いつかない…。
し、しかし『氷菓』7話「正体見たり」では、温泉に向かうえると奉太郎が左側通行してますね…もう、京都アニメーション…。
で、今日は「席(座り方)」の話。『とらドラ!』の川嶋亜美初登場のファミレスのシーンとか、『涼宮ハルヒの消失』とか思いつくけど、資料ない。
上手・下手の演出とは関係ないけど、アニメ『氷菓』のop。
→氷菓 OP - YouTube
最初はこんな感じ。(場面1)
B
壁
空席 空席
A 窓 机 出入り口 C
える 空席
仕切り
D
それが、3人が入ってくると、こうなる。(場面2)
B
壁
奉太郎 える
A 窓 机 出入り口 C
里志 摩耶花
仕切り
D
えるさん、奥の席ゆずってますね?
で、次の部室の場面ではこうなって、(場面3)
B
壁
摩耶花 里志
A 窓 机 出入り口 C
える(空席)奉太郎
仕切り
D
となって、えるが出入り口から入ってきて、奉太郎を引っ張る。
いろいろおかしい。
…こいつら、部室の席どこにするか決めてないんですかね? 毎日変えてたほうが新鮮ですけど…。早く来た人が出入り口から見て左奥に座るとか? 「場面2」の座り方は、「行きましょう、折木さん!」と、何かあったらえるが事件の現場に奉太郎を連れてく気満々ですね!
正しい並びかたは、多分これ。6話「大罪を犯す」から。机を隔てないと、えると奉太郎の距離が近すぎてしょうがない。
B
壁
える 里志
A 窓 机 出入り口 C
奉太郎 摩耶花
仕切り
D
しかし実写・アニメのずるいところは、ABCDどこにカメラを置いても大丈夫なとこですね(照明とか手間を考えると、アニメのほうが自由度高いかもしれない)。このまま舞台にしたら、登場人物4人のうち2人が常に背中だけ、という、とても難しい演出になってしまう。出入り口は右か左かに設けるしかないよね? まあ世の中には『12人の怒れる男』の舞台化なんてあったわけで。
背景
ABCDEF
GHIJKL
客席
椅子を動かしたり、役者を立たせたりして、芝居にはなりますですがね…。
俺が古典部の部室を舞台にするなら、多分こんな感じにする。
b 背景 里 摩 志 耶 花 a 出入り口 机 (使用しない) c え 奉 る 太 郎 客席 d
つまり、舞台としては「B」視点と「A」視点を混ぜる。える・里志が右を向いていて、奉太郎・摩耶花が左を向いているように机を並べる。
これだと、えると奉太郎の間に机があって、なおかつ「行きましょう、折木さん!」と、机の前を回って(客席側を通って)えるが誘える。さらに、摩耶花の「足ぶらんぶらん」が右側の客席から見えてお得だ!
これは以下のメモに続きます。
→なんで敵は「右」から来るの?