漫画業界におけるアンケート主義のメリットと弊害について

アンケート至上主義
少しいろいろ差しさわりがあるかもしれませんが、リンク先で書かれているテキストを補足する形での「長所」と「短所」に言及してみます。あくまでも一般論なので、特定の雑誌とか出版社に限定されるようなものでない程度の一般性はあるかわりに、「例外」も存在する、みたいな言及のしかたですが。
アンケート至上主義、という言いかたを避けて「アンケート主義」という言いかたをしますが、そのメリットとしてまず、新人漫画家・新人(若手)編集者が、実力(アンケートの結果)で巻頭とかカラーを取りやすい、ということがあります。
どんな業界でも保守、というか「既得権益の維持者・支持者」というものはいるので、過去にヒットしていた作品がそもそもまず、どうやってヒットに至ったたかも忘れて「ヒットしているから」という理由で表紙や巻頭カラーになる、という状況に一番いらだつのは、若手漫画家とそれを担当している編集者なわけですが、編集長に対する効果的な説得材料として「アンケートがとてもいい」というのは、ベテラン漫画家・ベテラン編集者を尊重しながらも、とても尊重しなければいけないもう一つの視点(影響力)の提供になります。
次に、コミックス(単行本)にする際に、「現在○万部(あるいは○十万部)売れているこの作品より、こちらの作品のほうが読者に支持されている(アンケート成績がいい)」というのは、営業・販売に対する説得材料になります。営業サイドでも、新人の初コミックスを出す場合には、「これが○万部(あるいは○十万部)なんだから、初コミックスでももう少し出さないといけないかも」のような部数決定の参考データになります。
いろいろ考えると、アンケート(至上)主義のデメリットよりもメリットのほうが大きいみたいですが、漫画業界(産業)が現在、必ずしも一般人を対象にした「発展市場」ではなく、限られた、ある種濃い目の読者を対象にした「限界が見えている市場」「二次生産物(グッズとかアニメとか)を売るための商品」になっている現状とか、アンケート(というか、アンケートを出す読者)による作品の偏りも気になるところです。
たとえば、漫画全盛期のころなら、中・高校はもちろん、どの大学の学園祭に行っても『ドラゴンボール』の孫悟飯や『北斗の拳』のケンシロウが「それ、うまいのか?」とか「お前はもう食っている」とかいうセリフつきで、たこ焼きとか焼きそばの宣伝看板になっていたわけですが、現在は漫画研究会のイベントとして「コスプレ・メイド喫茶」が細々と存在している程度にまで、サブカルというかカルチャーとしての漫画の影響力は衰えているわけです。SF読んでる世代はメインが40代で、毎年平均年齢が1歳ずつあがっている、という、ジョークにあまりならないジョークがありますが、同じように、漫画読んでる世代はメインが30代、ゲームやってる世代はメインが20代で、今の10代は本を読むどころか、漫画も読まなければゲームもしません。携帯でメールのやりとりをしているだけです(メールで話すことのネタとして、話題になっている本や映画のようなものは、かろうじて読んだり見たりします)。電車に乗って周りを見てみるとわかるでしょうが、活字の本を読んでるのはたいてい40代以上の人間で、それも近くの図書館から借りてきた本です。
ええと、だいぶ話がそれまくりですが、要するに、「アンケート(至上)主義」とはまた異なる、とはいえそれと同程度に意味のあるデータで(←ここ重要)、読者増加につながるメソッドが、ビジネス・モデルとしての出版物(漫画以外のものも含む)に必要なんじゃなかろうか、と、テクニカル・タームはあまりよくわからないけど、そういうものを入れてみて結論にしておきます。
今日は→「たけくまメモ」←みたいなのを意識して、ソースに言及が難しいネタを扱ってみました。たまにしかこういうのをやらないのは、すぐにネタ切れ・繰り返しになっちゃうからです。