今週のミステリー(2006.7.24-29)
今回は18冊でした。今週の1冊は、これ。
★『見えない貌』(夏樹 静子 著/光文社/1,890円)【→bk1】【→amazon】
行方不明になった娘は、無惨に殺されていた!事件を追う母親・日野朔子は、「メル友に会いに行く」という言葉と残された携帯電話からある男にたどりついたが…。思いもかけぬ、第二の事件が発生する!現代の歪んだ“道具”と人間関係の中に描き出された親子の絆とは?著者、五年ぶりの最新長編推理、堂々の刊行。
新しい小道具も入れているみたいです。
★『伊勢志摩殺意の旅』(西村 京太郎/角川書店/540円)【→bk1】【→amazon】
東京の地下鉄で男が刺殺された。男の身元は不明だが、死ぬ直前に「セコ」という謎の言葉を残し、伊勢で購入した赤福餅を持っていたことが判明する。伊勢市へ向かう十津川警部と亀井刑事。そこではカルト宗教団体の不可解な土地買い占め騒動が起こっていた。捜査が進むうちに、十津川は恐るべき陰謀が進行していることに気づき…。捜査一課史上最大の作戦が幕を開ける!超弩級サスペンス。
★『風の影 上』(C.R.サフォン 著 木村 裕美 訳/集英社/780円)【→bk1】【→amazon】
1945年のバルセロナ。霧深い夏の朝、ダニエル少年は父親に連れて行かれた「忘れられた本の墓場」で出遭った『風の影』に深く感動する。謎の作家フリアン・カラックスの隠された過去の探求は、内戦に傷ついた都市の記憶を甦らせるとともに、愛と憎悪に満ちた物語の中で少年の精神を成長させる…。17言語、37カ国で翻訳出版され、世界中の読者から熱い支持を得ている本格的歴史、恋愛、冒険ミステリー。
★『風の影 下』(C.R.サフォン 著 木村 裕美 訳/集英社/780円)【→bk1】【→amazon】
謎の作家フリアン・カラックスの過去が明らかになるにつれて、ダニエルの身に危険が迫る。一方、彼は作家の生涯と自分の現在との不思議な照応に気づいていくのだが…。ガウディ、ミロ、ダリなど幾多の天才児たちを産んだカタルーニャの首都バルセロナの魂の奥深くを巡る冒険の行方には、思いがけない結末が待っている。文学と読書愛好家への熱いオマージュを捧げる本格ミステリーロマン。
★『志摩半島殺人事件』(内田 康夫 著/中央公論新社/580円)【→bk1】【→amazon】
真珠の養殖で有名な志摩半島の英虞湾に、己の刑務所体験を書く人気作家、袴田啓二郎の他殺死体が浮かんだ。所轄の鳥羽署はかつての裏の交流に着目し、捜査を開始。そんな折、美少女海女の取材で当地を訪れていた浅見光彦は事件を知り、興味を持つ。そして起こる第二の殺人。はたして光彦は真相に行き当たることができるのか。
★『抹殺部隊インクレメント』(C.ライアン 著 伏見 威蕃 訳/早川書房/945円)【→bk1】【→amazon】
元SAS隊員マット・ブラウニングは、英国情報部SISから極秘任務を受けた。英国の製薬会社の薬品を密造している工場を破壊せよというのだ。マットは製薬会社の女性、爆発物の専門家とともに工場のあるベラルーシに赴く。その頃、英国では狂暴化した元兵士が起こす悲惨な事件が続発していた。やがてマットはこの事件と工場襲撃に関係があることを知るが、SAS最強の暗殺部隊が迫ってきた!凄絶な対決を描く冒険アクション。
★『クロイドン発12時30分』(F.W.クロフツ 著 加賀山 卓朗 訳/早川書房/840円)【→bk1】【→amazon】
完全犯罪を成功させろ!工場を経営するチャールズは窮地に陥っていた。資金繰りが苦しくなり、従業員たちの給料さえ払えなくなる日も近い。頼りだったおじのアンドルーにも借金をきっぱりと断わられてしまった。だが、絶体絶命のチャールズの脳裏にある危険な計画が閃いた。莫大な遺産を残してくれるはずのおじを完璧なアリバイとともに毒殺することができないだろうか?倒叙ミステリの礎を築いた名作が新訳版で登場。
★『お楽しみはこれからだ! JazzyMur』(真瀬 もと 著/早川書房/1,995円)【→bk1】【→amazon】
その部屋はおおむね密室だった―ハリウッドのスター女優に届ける犬のお供で英国から渡米したメイドのケイトは、変死体で発見された当の女優の隣室に泊まったせいで殺人の容疑者に。ケイトさえいなければ完璧な密室状況だった。女優は生前、映画会社との確執や、事故死した別の人気女優との怪しい関係が噂されていたが…禁酒法時代の華やかなりしハリウッドを舞台に展開する、犬とメイドの本格推理。
★『白夜街道』(今野 敏 著/文藝春秋/1,680円)【→bk1】【→amazon】
外務省職員がロシア貿易商と密談した後、怪死した!その貿易商と一緒に来日していたのは、元KGBの殺し屋・ヴィクトルだった!警視庁公安部・倉島警部補は二人を追ってロシアへ飛ぶが…。マフィアとテロリストたちをも巻き込んだ緊迫の追跡捜査を描く、超硬質アクションノヴェル。
★『猫島ハウスの騒動』(若竹 七海 著/光文社/900円)【→bk1】【→amazon】
葉崎半島の先、三十人ほどの人間と百匹を超える猫が暮らす通称・猫島。民宿・猫島ハウスの娘・杉浦響子は夏休みを迎え、家業の手伝いに精を出す日々を送っている。そんなある日、ナンパに勤しむ響子の同級生・菅野虎鉄が見つけてしまったのはナイフの突き立った猫の死体、いや、はく製だった!?奇妙な「猫とナイフ」事件の三日後、マリンバイクで海の上を暴走中の男に人間が降ってきて衝突した、という不可解な通報が!降ったきた男は「猫とナイフ」事件にかかわりがあるようだが…。のどかな「猫の楽園」でいったい何が!?真夏の猫島を暴風雨と大騒動が直撃する!奇妙な事件に奇矯な人々、そして猫・猫・猫…ユーモアとシニカルを絶妙にブレンド。コージー・ミステリの名手、若竹七海の真骨頂。
★『千一夜の館の殺人』(芦辺 拓 著/光文社/940円)【→bk1】【→amazon】
数理情報工学の権威・久珠場俊隆博士が、莫大な遺産をのこして客死した。遺言状開示から日をおかず、久珠場家を次々と惨劇が襲う!遺産目当ての犯罪なのか?相続の立会弁護士・森江春策のもとを離れ、奇縁により、久珠場家に「潜入捜査」することになった森江の助手・新島ともかにも危機が迫る!森江の鮮やかな推理と、壮大な物語集『アラビアン・ナイト』に秘められた謎が感動と驚愕を呼ぶ。待望の書下ろし本格推理長編。
★『褐色の街角』(M.M.ビジャトーロ 宮崎 真紀 訳/東京創元社/1,092円)【→bk1】【→amazon】
ロミリア・チャコン。28歳、ラテン系。ナッシュヴィル署殺人課の刑事。6年前に姉を殺されて以来、胸に燃える復讐の火を任務に注ぎこむ。新聞記者変死事件の現場に残された翡翠のピラミッド…解決済みの連続殺人事件に新たな被害者?捜査中に出会った洒脱な紳士ムリージョ…麻薬王と噂される彼が、彼女に恋を?シングルマザー刑事の胸のすく活躍を描く新シリーズ開幕篇。
★『彼女はたぶん魔法を使う』(樋口 有介 著/東京創元社/820円)【→bk1】【→amazon】
元刑事でフリーライターの柚木草平は、雑誌への寄稿の傍ら事件調査も行なう私立探偵。今回もち込まれたのは、女子大生轢き逃げ事件。車種も年式も判明したのに、車も犯人も発見されていないという。被害者の姉の依頼で調査を始めたところ、話を聞いた被害者の同級生が殺害される。私生活でも調査でも、出会う女性は美女ばかりで、事件とともに柚木を悩ませる。人気シリーズ第一弾。
★『二島縁起』(多島 斗志之 著/東京創元社/700円)【→bk1】【→amazon】
五つの島々をまわって数人ずつ客を拾い、合計二十五人を輸送してほしい、但し目的地は全員が乗船するまで秘密―奇妙な依頼の目的は?潮見島と風見島、瀬戸内海に浮かぶ二つの島の対立に心ならずも巻き込まれた海上タクシー船長・寺田の前に、さらに不審死の謎が立ち塞がる。冒険小説趣向や歴史の謎を取り入れた傑作ミステリ、初文庫化。『多島斗志之コレクション』第二弾。
★『善意の殺人』(リチャード・ハル/著 森英俊/訳・解説/原書房/2,310円)【→bk1】【→amazon】
いやみな嫌われ者の富豪が列車の中で、かぎ煙草に仕込まれていた毒で殺された。誰がどのタイミングで疑われずに毒を仕込めたのか、数々の証言によって「被告」の前で明らかにされてゆく。はたして「被告」は真犯人なのか。ところが「被告」の名前は最後まで明かされない。関係者の中のひとりであるには違いないのだが…。『伯母殺人事件』をもしのぐ、奇才ならではの技巧に満ちた傑作登場。
★『九州平戸殺人事件 長篇旅情ミステリー』(木谷恭介/著/桃園書房/630円)【→bk1】【→amazon】
熱海の錦ヶ浦で少女の絞殺死体が発見された。公開捜査に踏み切った警察に次々と情報が寄せられ東京・新宿に住む村瀬美奈であることが判明する。一方、成城学園に住む服飾デザイナー・鳥飼多佳子の邸宅で、捨てられた赤子が見つかり警察が保護した。二人の接点を探る宮之原昌幸警部は、美奈の出生に多佳子が関係していると気付き…。長篇旅情ミステリー。
★『停まった足音』(A.フィールディング 岩佐 薫子 訳/論創社/2,625円)【→bk1】【→amazon】
屋敷の一室で女主人の遺体が発見された。心臓を貫いた弾丸、傍らには被害者の指紋がついたリボルバー。争った形跡はなし。事故か自殺か、あるいは殺人か。死亡直前に被害者の背後で足を止めたのは誰なのか。ロンドン警視庁のポインターが地道で緻密な捜査を続けた結果、浮かび上がる意外な真相…。ヴァン・ダインが称賛したことで知られ、戦前より幾度となく邦訳刊行が予告されてきた『停まった足音』が、ついに日の目をみる。
★『自分を殺した男』(J.シモンズ 著 伊藤 星江 訳/論創社/2,100円)【→bk1】【→amazon】
女房の尻に敷かれつつ額の後退に悩む、零細企業の経営者アーサー。妻から愛されつつも美しい女性との情事に耽る、結婚相談所のイースンビー。何から何まで違う二人…。ある日、アーサーは妻殺しを決心し、イースンビーに手を下させることにした。ミステリ界の巨匠シモンズによる、ユーモアと皮肉たっぷりの犯罪小説。評論家キーティングがミステリ・ベスト100に選び、称賛してやまなかった名品をお届けする。