Yahoo!ムービーで公開されていない映画をほめる人は普通に工作員認定でいいんだろうか、と『東京フレンズ』の件から考える
見出しは演出です(もういっそのこと「愛・蔵太の見出しは演出な日記」とサイト名を変えてしまおうかと)。
これなんかは面白かったな。
→東京フレンズ The Movie
→東京フレンズ The Movie:ユーザーレビュー(古い順)
→東京フレンズ The Movie:ユーザーレビュー(新しい順)
「古い順」で10件の平均は、5555155555で(2006/06/21 01:27〜2006/07/29 13:22)、平均評価は「4.6点」。ちなみに作品評価がもっとも高いのは例によって『時をかける少女』とかなんですが、
→Yahoo!ムービー - 劇場公開情報 ランキング
1 2 時をかける少女 (4.6)
1 3 ALWAYS 三丁目の夕日 (4.6)
3 4 ラブ★コン (4.4)
3 4 ホテル・ルワンダ (4.4)
3 4 天空の城ラピュタ (4.4)
『東京フレンズ The Movie』はそれに匹敵する評価。
こりゃ見に行きたくなるよなぁ。
で、「新しい順」10件の平均は3423234444で(2006/08/11 23:42〜2006/08/12 03:06)、平均評価は「2.9点」。86件のトータルは「5点満点中3.2点」なんですが、はじめのほうに入っていた高評価がどんどん下がっている、という感じでしょうか。
ちなみに、実際の映画公開初日は2006年8月12日。
オンライン試写会というのが、2006年8月11日におこなわれましたが、どのくらいの人が見たんだろうか。
→Yahoo!ムービー - オンライン試写会『東京フレンズ The Movie』
一応補足しますと、「ドラマ 東京フレンズ」というのが5話分ありまして、
→.: 東京フレンズ :.
→東京フレンズ - 無料動画を配信中 - BIGLOBEストリーム
それを見た人が、映画に関する期待評価を載せてみた、という判断があるわけですが、映画とそれの元になってるドラマとは違うだろ、とか、「見ないでほめるな」という当たり前のことはどうなっているのか、と。
→東京フレンズ The Movie:ユーザーレビュー(古い順)
映画も楽しみデス★
これ(引用者注:ドラマのほう)を見たらまったく興味なかった映画を絶対みたくなりました。
早く映画を見たい
映画がとても楽しみです。
映画早くみたいです
私ゎDVDの映像しヵまだ見ていないんですが、めちゃ②おもしろぃデス!!ダヵラすんごく続きが見たいデス!!!
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まぁそんなわけで、今後、ネットの影響力(特にクチコミの力が強そうな、新作映画や新しいTVドラマなど)を利用した、関係者のクチコミを装った宣伝なども普及しそうな気がします。
あっ、当たり前のことですが、別に『東京フレンズ The Movie』をほめている「Yahoo!ムービー」のユーザー評全部を「工作員、乙!」とか言うつもりはありません。大塚愛主演の映画がつまらないわけないじゃないか! 多分見ないだろうけど。
で、「関係者のクチコミを装った宣伝」そのこと自体はぼくはそんなに否定的ではありません(第三者を装った対立企業の「ネガティヴ・キャンペーン偽装」などと比べると全然正統的な営業行為だと思います)。
要は、その「おすすめ」が本当に関係者ではない一般人のものなのか、を見極めるメディア・リテラシーがあればいい、というだけのことですからね。
ぼくの日記ではこんなところなど。
→いわゆる「ポジショントーク」の是非について俺の頭のうしろの口が言ってみる
本当は、誰がほめようがけなそうが、自分が面白いと思うようなものをちゃんと見つけて、感動できたりするといい、という「感受性における個性」だと思うんですが、なかなか「人が面白い(あるいはつまらない)と言っているモノ」に対して、普通の人間は「ぼく(私)はそうは思わない」って言いにくいものなんですよね。それを利用するのが「昔からの宣伝」で、別に手法は変わっても、人間の心理に対するアプローチとしては「ネット上の宣伝」と違いが特にあるわけではないでしょう。ただ、それがバレた場合のダメージが大きい、ということはありますか。
最近、テレビとかに誰かが出てても「どうせ番宣でしょ」というのは一般的な感覚で、そのような「広告を装っていない広告」が一般的になりすぎて、人が何かをおすすめしている行為に対して、判断が慎重になっている気がします。
ひょっとして日本人が他人を信頼しないのは、「宣伝・広告のようにはちょっと見えない宣伝・広告」のせいだったのか!
→こんな情報を流す人間が多い日本だから、もっともっと日本人は人間を信頼しなくてもいい
日本人の若者が他人をもっと信頼するようになるために必要なのは、小泉・自民党の政権交代ではなくて、「広告・宣伝に関する何らかの規制」だったりして。
それは嘘、ていうか冗談ですが、本や映画の「ユーザーレビュー」を載せているサイトには、この人は他にどのようなものをほめたりけなしたりしているか、がわかるシステムを望みたいし(現にアマゾンの場合はそうなっているので、「ああはいはいまたこの人ね」とか普通に思えるわけです)、その評を参考に何かを見たり聞いたり読んだりする側としては「この人がほめてるんだったらちょっとその映画とか本とか音楽、見たり読んだり聞いたりしてみようかな」という「判断としてのリテラシー」がつくといいでしょうね。
つまり要するに漠然と「みんながほめている」からじゃなくて、特定の誰かさんがほめているから、というのは重要なことなのです。で、その「ほめている誰かさん」が、「メディアの提供する有名人」ではなくて「メディアでは知られていないけど、ウェブでこの人が何か言ったらすごいことになる人」だったりする部分が多くなると、Web1.99ぐらいのすごさになると思います。
Web2.0は、まだ今のところ「不特定多数のみんなの意見」は拾えるけれども、「特定個人で信頼できる人の意見」を拾うにはちょっと難儀なのです。「そんなのを拾わないのがWeb2.0クオリティ」と言われてしまうと仕方ないですけどね。
以下、参考になりそうなところなど。
→J-CAST ニュース : ネット「世論操作」 請け負う会社の正体
→発熱地帯: 回転が加速していく小さな歯車とサビついてきた大きな歯車
旧来のマスプロモーションの効果は年々低下しているが、他の有効な手段が見つかっていない。
→松浦晋也のL/D: 「ゲド戦記」を観る
特に松浦晋也さんの『ゲド戦記』に関する「Yahoo!ムービーの映画評」は秀逸なので必読です。ていうかそれを参考に、今日のぼくのテキストは書かれたようなものです。
さて、Yahoo!ムービーの映画評だが、7月29日の封切り直後に、急に五つ星評価が増えた。しかも狙ったように同日にYahoo!に登録したアカウントで、だ。
これは、興行側のサクラがマルチアカウントで書き込んでいるに違いない、と指摘されると、30日になって五つ星評価の人の登録日時が急にばらけた。ところが、今度はなぜか今年の3月後半あたりの登録がやたらと多い。春休みロードショーでサクラ書き込みをした面子に声がかかったと解釈できる現象だ。
(2006年8月12日記述)
これは以下の日記に続きます。
→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20060815/sirouto