映画

ウディ・アレン監督『マッチポイント』で「伊達邦彦なら殺してた」というのを考える(ネタバレあり)

伊達邦彦って知ってますよね? 大藪春彦の『野獣死すべし』その他の主人公。まあ、はっきり言ってミッキー・スピレーンの作中人物、マイク・ハマーの影響感じますけどね。全然知らない? 検索して! で、ウディ・アレンのひょっとしたら一番稼いだ映画(?)…

「前捌き」という演出方法について(黒澤明関連)

毎日黒澤明と手塚治虫の関連本を読む毎日です。二人が対談したテキストとかないかな? 手塚治虫は黒澤明の映画見ていると思うけど、黒澤明は手塚治虫の漫画読んでないと思うんで、クラシック音楽の話とかいいですかね。ブラームスなど。 二人の接点としては…

なんで敵は「右」から来るの?

これは以下のメモの続きです。 →なぜ舞台・映画・アニメのキャラクターは「右から左」へ動くの? →アニメ『氷菓』を舞台化するなら、古典部の部室はこうするしかない(opの絵はおかしい) 参考動画。 →ゴジラ(1954) 予告編 [GODZILLA] 1080p HD BD trailer -…

なぜ舞台・映画・アニメのキャラクターは「右から左」へ動くの?

富野由悠季『映像の法則―ビギナーからプロまでのコンテ主義』から。p55 当たり前の感覚でいえば、上に見えるものは大きいし、“上位のもの”と感じることもできます。上からくる(見えてくる)ものは“強いもの”とも感じられます。 下からのものは、その逆の印…

どうやって撮ったかよく分からない『麦秋』の鉄道シーン

映画『麦秋』(小津安二郎監督作品)の、1時間39分50秒あたりから。 結婚が決まった(決めた)娘のことを考えながら、散歩に出た父親。 1・線路の向こう側に父親のカット。踏み切り降りてくる。踏み切り降りる。ちょっと考えて道を戻る。 2・道路傍に腰を…

『HACHI』----この話が21世紀だったら

割と評判いいみたいなので見てきましたが、「1998」年に飼い主が死んだことになっている(舞台はニュージャージー)というので、戦前の渋谷を舞台にしているオリジナルと比べると、やはり話の根本部分で無理があると思った。インターネットがごく当たり前に…

「渡り鳥」シリーズ全部見る(小林旭)

内容は以下のところを参考に。 →シリーズ映画研究/渡り鳥シリーズ 話はだいたい似たようなもので、土地のヤクザとそれに苦しめられている昔からの人がいて、アキラがその問題を解決する、という。穴戸錠との絡みはどれも面白いです。函館・佐渡・佐世保など…

『クライマーズ・ハイ』----新聞・報道が元気だったころのノスタルジー映画

正月映画で特に見たいようなものもなかったので、こんなのをDVDで借りて見てみました。 →クライマーズ・ハイ - goo 映画 実際に起きた日航機墜落事故(→日本航空123便墜落事故 - Wikipedia)を物語の軸に、北関東新聞(実際には上毛新聞ですね)の全権デ…

『めし』----戦後すぐの大阪の街並みが楽しめる

成瀬巳喜男の映画ってはじめて見たけど、なんか面白いですな。舞台は大阪で、証券会社に勤める亭主(上原謙)を持つ、結婚5年目ぐらいの妻(原節子)が主人公。で、亭主の姪が家出して、狭い家に居候になる(彼女の観光案内ということで、当時=1950年代は…

ぼくの邦画ベストテン

こんな企画があったので、 →邦画オールタイムベストテン - 男の魂に火をつけろ! 〜邦画オールタイムベストテン受付中〜 ためしにちょっと参加してみるよ。 以下のエントリーも興味深かった。 →映画オールタイムベストテン - 男の魂に火をつけろ! →映画オー…

『赤い文化住宅の初子』----貧乏映画の佳作

広島県の一地方都市(福山市が舞台っぽい)。赤い文化住宅というか、赤錆びたボロアパートに兄と住む女子中学生の話。父親は蒸発、母親は借金返すのに過労で死亡、兄は高校中退でロクに仕事にもつけないダメ兄貴。学校にナイショで主人公はラーメン屋のバイト…

『ビッグ・トレイル』----西部劇初期の名作

ジョン・ウェインが初めて主役をやった1930年の映画。キャラ設定は典型的なヒーローで面白みはない*1。でも若くてカッコよすぎ。彼が案内役となって、幌馬車の農民を導いてカリフォルニアまで行く話。川があったら何も考えずに渡る(牛や馬流されまくり)し…

映画の製作費は2億ぐらいで、興行収入8億ぐらいがちょうどいい(『アフタースクール』)

けっこう話題になっている映画『アフタースクール』を見てきました。 →Yahoo!映画 - アフタースクール 長編デビュー作『運命じゃない人』がカンヌ国際映画祭4部門を受賞したほか、多数の映画賞に輝いている内田けんじ監督による新感覚エンターテインメント。…

宮城嗣吉と沖縄の昔の映画『海流』について

宮城嗣吉という人物は、タグ「沖縄戦」とかで語ったほうがいいような人物なんですが、 →宮城嗣吉 - Google 検索 今日は映画館主であり、松竹の映画にも出ている人物として興味を持ちました。 →銀幕に古き那覇の街 桜坂劇場で沖縄ロケ「海流」上映 - 琉球新報…

『西部の王者』----いろいろあった

バッファロー・ビルの伝記映画。 →西部の王者 - goo 映画 民間人でありながら騎兵隊とインディアンの間に立って仲介・仲裁役に努め、東部のほうではすっかり伝説的英雄になって大統領に会い、ショー(見世物)としての西部を演出するスターとして後半を送っ…

『黄色いリボン』----騎兵隊が悪いインディアンをやっつける

本日の画像は、「ジョン・フォード・ポイント」から見たモニュメント・バレー。 オリジナル画像は以下のところにあります。 →モニュメント・ヴァレー →http://home.san.rr.com/gdolboysdg/images/monuvalley_31.jpg 退役直前の老騎兵隊長が、インディアンを…

『ハイ・シエラ(ハイ・シェラ)』----暴力的なボガートがかっこいい

→ハイ・シェラ - goo 映画 前に見た西部劇『死の谷』の元ネタということで、ちょっと見てみた。 →『死の谷』----かっこいいワルモノが犬のように死ぬ 『死の谷』ほど荒廃してはいないのですが、かなりすさんだギャング映画の世界で、ハンフリー・ボガートが…

『廃墟の群盗』----怪奇幻想西部劇

→廃墟の群盗 - goo 映画 時代は1867年、南北戦争は終結し、元北軍の7人のならず者は、銀行を襲い金を奪ってデス・バレーに逃げる。7人のキャラの立て具合は、いろいろな「7人」ものの元祖みたいで面白いけど(七人の侍とかワイルドセブンとか)、そんなに…

『暗黒街の弾痕』----1時間半の映画の後半30分がすごくいい

→解説・あらすじ 暗黒街の弾痕 - goo 映画 『西部魂』があまりにも楽しい娯楽西部劇だったので、フリッツ・ラングというのはそういう監督だったのかと確認してみたくて別の映画を見てみました。これはジャンル的にはフィルム・ノワールなんですかね。そうい…

『砂塵』----とてもつまらなそうなタイトルだけど滅茶苦茶面白い

→砂塵 - allcinema 1939年製作の、なんとも楽しい西部劇。無法者の街・ボトルネックを仕切る酒場のボス、ケントと悪徳市長。土地をイカサマ賭博で騙し取り(マレーネ・ディートリッヒがなかなかシブい役どころ)、正義漢の保安官を殺して酒場ののんだくれオ…

『ウィンチェスター銃'73』----呪われた銃とそれをめぐるファンタジー

→解説・あらすじ ウィンチェスター銃’73 - goo 映画 とある町の射撃大会の優勝商品として登場した、千挺に一挺の銃、ウィンチェスター銃'73。これを巡って悪漢代表のヘンリー・ブラウンと、宿命の、というかある種呪われたヒーローであるリン・マカダムが…

『死の谷』----かっこいいワルモノが犬のように死ぬ

→解説・あらすじ 死の谷 - goo 映画 脱獄したお尋ね者ガンマンのウェス・マクイーン(ジョエル・マクリー)は、恩のあるデーヴのために、あまり気のすすまない列車強盗を、悪者二人と組んでおこなうことになるが…という話。これは1941年ボガート主演の映画『…

『西部魂』----見せ場も普通にあるちゃんとした西部劇

→解説・あらすじ 西部魂(1941) - goo 映画 テクニカラーのほうで見てみました。戦前につくられたとはとてもおもえないほど色がきれいで、場所もどうも西部を舞台にしている割には北のほうのせいか、あまりほこりっぽくない。ワイオミング州ですか。南北戦争…

『アパッチ砦』----騎兵隊の馬がたくさん見れる

→解説・あらすじ アパッチ砦 - goo 映画 →あらすじ アパッチ砦 - goo 映画 1876年6月22日のカスター将軍によるリトルビッグホーンのたたかいを参考にしているみたいなので、時代設定は1870年代ですか。新任騎兵隊隊長のむすめの、むだにかわいいおじょうさん…

『ネブラスカ魂』----アラン・ラッドの身長が気になって気になって

映画の情報はこちら。 →ネブラスカ魂 - goo 映画 →あらすじ ネブラスカ魂 - goo 映画(ストーリーの結末が記載されていますのでご注意ください) 鉄道保安官、っていうのかな、まぁ鉄道関係の犯罪者を扱う職業の、俗称ウィスパー・スミス(囁きのスミス=ア…

『荒野の決闘』----これは普通に面白かった

例によって映画の基礎情報はこちら。 →荒野の決闘 - goo 映画 →あらすじ 荒野の決闘 - goo 映画(ストーリーの結末が記載されていますのでご注意ください) あと、こちら。 →荒野の決闘 My Darling Clementine ドク・ホリディとワイアット・アープが話のメイ…

『赤い河』--ピカレスクなオレ様ジョン・ウェイン

ちょっと西部劇という映画のジャンルに興味を持って、ある程度まとまった本数、そうだな、100本ぐらいを目標に見てみようかと思った。どうもぼくの記憶では、かつて成功して、完結したいちジャンル、たとえて言うなら都電のようなものとして存在しているので…

『2001年宇宙の旅』でサルが投げた骨は何になったのか

以下の本を読んでまして、図説 武器だもの作者: 武器ドットコム,大波耀子出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 48回この商品を含むブログ (8件) を見る★『図説 武器だもの』(武器ドットコム 著 大波 耀子/…

『陸軍』(木下惠介)

木下惠介の第4作。引き続き戦時中の作品(1944年公開)。陸軍の全面協力で作られた映画で、最後の出征シーンのマス・モブシーンのあまりのすごさに、そこだけ3回ほど立て続けに見てしまいましたが、で、そこだけ見ると母と子の話なんですが、陸軍大尉で中国…

『歓呼の街』と昔の映画は見る人が少ないことについて

『歓呼の街』。 引き続き木下惠介の戦時中の作品(第3作)。 戦時疎開で町の住民が地縁を断ち切って新しい土地に行こうとしている、あわただしい町(多分東京・大田区。蒲田あたりか)。町内会長とその娘、夫と離別して琴の師匠で生計を立てる女性とその息…