映画『ダーウィンの悪夢』に関する「嘘」について

これは以下の日記の続きです。
日本のクズ(kudzu)は世界一
 
タンザニア・アフリカにくわしい人たちが、『ダーウィンの悪夢』という映画について語っています。
これは面白いことになってきた。
progressive link - ダーウィンの悪夢についてのいろいろ

  1. タンザニアは飢饉に困っていません
  2. ムワンザはタンザニアにおける人口第二の都市
  3. エイズビクトリア湖の問題ではなくて世界的な問題
  4. タンザニア政府は抗議声明
  5. シクリッドは絶滅していません
  6. ドキュメンタリー作品なので、作者の主観が入っています
  7. 知人「私の知ってるムワンザじゃない(怒)!!」だそうです

だそうです。
こんなのも。
吉田昌夫「フーベルト・ザウパー監督による映画『ダーウィンの悪夢』について」

どうみてもこの映画は、現地事情を良く知らないザウパーが、コンゴについて作成した映画が当たったことに気をよくして、何かセンセーショナルな映画でもう1度当てたい、とビクトリア湖に70年前に入れた外来魚「ナイルパーチ」がシクリッド種の小魚を食べたため、その種が減ってしまっているという科学者の報告と、最近のナイルパーチ輸出が空輸で行なわれ、ムワンザ空港が東ヨーロッパからアンゴラに武器を空輸していた時の給油地であったことと、アフリカ人の貧困の状態とを結びつけ、ストーリーを作ったとしか思えません。

ダルエスサラーム便り

映画で主要舞台の一つであったタンザニア水産研究所のムワンザ支所は、定期的に(年に4回ほど)調査トロール漁を行っており、その漁獲内容の分析記録がある。この記録は未発表のもので、特別に見せていただいたものだからそのまま公表は出来ないものだが、そのデータでは2003年から2005年にかけて、漁獲に占めるナイルパーチの比重が減り、他の魚種が増えている。1998年には91%ほどを占めていたナイルパーチは2005年には69%程度まで落ち、代わって増えてきているのは絶滅を危惧されていたシクリッドである。

これは旅人の記録。
Rolling Kids Blog: ムワンザの記憶と「ダーウィンの悪夢」

ダーウィンの悪夢の舞台、タンザニアのムワンザには、確かに厳然と貧困が存在するし、少し街を歩くだけで、ストリートチルドレンや売春婦に出くわすだろう。それでも、俺の知っているムワンザはそれだけではない。俺はあの街が好きだった。ムワンザは、決して危険な街ではない。娼婦たちだけでなく、昼には暑さでぐったりしているストリートチルドレンたちも、日が暮れると動き出し、街は活発になる。たいていの店では、残飯を狙うストリートチルドレンを無碍に追い払うようなことはしないし、お金を払って食事をしているお客もすすんでわけ与えたりしている光景を見るだろう。時々、韓国人のボランティアがストリートチルドレンを相手に、路上で青空教室をはじめる。向こうの角では、別の子供たちが合唱している。娼婦たちは一様にひどく陽気で、誘いを断っても急に冷たくなるようなことはあまりない。
街は笑顔であふれている。これは俺の主観だろうけど、ダーウィンの悪夢もまた、あきらかにザウパーの主観である。それも、おそらくは巧妙に計算された意図をもって。なんとも吐き気がしてくる。

以下の日記には、魚料理の画像が出ています。
Rolling Kids Blog: ムワンザの魚料理

確かに、飢えはあるだろう。助けを必要としている人はいるだろう。けれども、それがアフリカのあらゆる国々に蔓延していることと、あるいはあなたのすぐそばにあるかもしれないものと、いったいどう違うと言うのだろうか。そうした自問や追及がない限り、映画を観たところで、ムワンザの何が特殊なのかそうでないのかは、見えてこないのではないだろうか。

真実はどのようなものであるのか、は、現地に行って現地の言葉で、現地の人たちの様々な声を直接聞かないとわからない部分が多いようです。
タンザニアの言語は「外務省の案内」によると「スワヒリ語(国語)、英語(公用語)」だそうです。
 
少し関係あるリンク。パレスチナについて。
P-navi info : 日記:恣意的な切り取り方について
P-navi info : NHK-BS 『ガザに死す』を見て
 
これは以下の日記に続きます。
ドキュメンタリーはノンフィクションなのかについて映画『ダーウィンの悪夢』で考える