新人の出てくる場所は、競争の激しい場所か、何をやってもいい場所かのどちらかだ
以下のところを見て考えた。
→ARTIFACT@ハテナ系 - SF小説で新人発掘能力が下がっていった理由
コメント欄にあったけど「SF全盛期は書く場所がなかったからみんなSFにいった」というのはありそう。
→万来堂日記2nd - そのようにしてライトノベルは終息していく
私はライトノベルの良きファンとは言いがたいのだけれど、外野席の一SFファンから見るとライトノベルの強さってのは、その卓越した新人発掘能力に負うところも大きいと思うのである。
→とくめー雑記(更新記録) - (A-3)SF業界☆めった斬り!
彼等は20年間、ひたすら自家中毒を深めていっただけに過ぎないのでしょうか。
SFが読まれていた時代から、読まれなくなった時代を回顧してみると、ぼくの知り合いなんかはSFを離れて(ジャンルで読まないで)面白い本を読むようになってましたね。フリーマントルだったり(それは古すぎるかな)、北村薫だったり。最近だとどうだろうなぁ。伊坂幸太郎とか読んでそうな気がする。
だから、ライトノベルがつまらなくなったら、また別のジャンルの面白い本を読むんじゃないかと思う。人はジャンルで本は読みません。ていうか、ライトノベルはジャンルとしては、SFとかミステリーとかみたいに、特定ジャンルのジャンル度が低い気がする。ミステリー系とかSF系のライトノベルもあると思うし。
しかしこのテキスト群、今改めて読むと面白いな。
→梅原克文の言いたい放題
それでこんな意見が。
→とくめー雑記(更新記録) - (A-3)SF業界☆めった斬り!
彼の掲げたコンセプトの一部分――SFの悪習が染み付いていない娯楽重視の科学小説というジャンルは、ライトノベルという形で実現されました。そして、そこに梅原氏の席はなかった。ま、それはそうでしょう。私に言わせれば、彼もまたサービス精神に足りない作家なのですから。だって、新ジャンルの旗揚げ宣言で、『読者になめられる』はないでしょう(笑
ちょっとこの梅原氏の「新ジャンルの旗揚げ宣言」的テキストで『読者になめられる』的なフレーズはなかったので調査中。これかな?
→梅原克文のサイファイ構想
(4) サイファイ作家は、アマチュアのイベント(SF大会の類)などに無料サービスで参加してはならない。
理由は、そうしないと、マニアや、おたくに、プロ作家がなめられっぱなしになるからだ。やがて、なめられっぱなしでいることを快感に思うような、中途半端なセミプロまで現れてしまう。
こんなのもありました。
→琥珀色の戯言 - リトル・バイ・リトル/「新人発掘能力が上がる」ことの功罪
「新しい才能がどんどん発掘される」ということは、裏を返せば、「ちょっとでも古くなった才能は、どんどん淘汰されていく」ということでもあるのです。極端な話、新人賞に応募してくる新しい才能を次から次へと消費し続ければ、「ライトノベル業界」「文学業界」そのものは安泰です。そもそも、本の売り上げそのものはどんどん減ってきているのに、「作家」の数がどんどん増え続けてきているというのは、「檻の中で増えすぎてしまったハムスター」みたいなもので、最終的には共倒れか共食いの道しかないのです。
具体的な反論ではありませんが、昔も小説では食えない貧乏作家というのはいたように思います。
ただ、この記述はちょっと疑問で、
直接的な新人育成ということについては、「パラレルクリエーション」というのがあったようです。
パラクリというのは、当時すでにデビューしていた人たちのサークルで、「新人育成」的なシステムではなかったはず。SFマガジンの新人賞でデビューした、SF第二・第三世代(大原まり子とか火浦功とかかな。神林長平はどうだったか不明)が関係していたとは思うんですが、そこからデビューした新人はいたんだろうか。
今のSFを含むライトノベル業界は、日本映画業界と連想部分が多いのです。日本映画ってビジネスモデルとしては一時期ものすごく破綻していて、多分「日本映画黄金時代」の1960年代から、ごく最近までそんな感じだったんじゃないかと思うんですが、あまりにも儲からないんで、そういうことあまり考えない人がどんどん入ってきた、みたいな。で、映画そのものでかろうじて儲かっていたものはエロ映画で、そこから新人出てきた、とか。エロゲ業界みたいなもんですか(ちょっと言いたい放題言いますよ)。ただやはり「商売」は考えなければいけないわけで、こんなところに客がいる、と分かったところに釣り糸を垂れる、というのはあります。雨で出来た水溜りに釣り糸を垂れてもサカナなんかはいやしない。
ところで、東大に合格できる人間は「勉強しなくても頭がいい人間」か「勉強して東大に入るといいことがあると思っている(実際にその「勉強」の面では頑張れる)人間」か、だと思うのです。で、前者は「儲からなくても面白い仕事(学術研究を含む)」を選び、後者は「ビジネスモデルビジネスモデルとうるさい仕事」を選ぶ、と。公務員の上級職はあまり「ビジネスモデル」とは言ったり言われたりしないかな。