『女性編集者の時代 アメリカ女性誌の原点』

女性編集者の時代―アメリカ女性誌の原点

女性編集者の時代―アメリカ女性誌の原点

★『女性編集者の時代 アメリ女性誌の原点』(パトリシア・オッカー/青土社/2400円)【→bk1】【→amazon
19世紀アメリカの「婦人」雑誌を編集した女性たちは、「女性読者」という公共空間を切り開き、ポーやストウ夫人を「職業作家」に育て、現代文学、文化の基礎を築いた。当時50万部を超えた人気雑誌の女性編集長に焦点をあて、従来の文学史が「センチメンタル」と切り捨ててきた彼女たちの活躍を現代に甦らせる。
【感想】19世紀、『ゴーディズ・レディズ・ブック』を40年にわたって編集し、ポオとか女性詩人の詩とかを掲載した文芸系編集者・セアラ・ヘイルの雑誌作りと、その周辺に関する研究。はじめの部分に膨大な固有名詞として提示される諸々の雑誌・編集者は個々に見ていったり、有機的に面白く語ったりすると楽しめそうなんですが、研究テキストということでものすごく無味乾燥。で、基本はセアラ・ヘイルという特定編集者に関しての、あまり物語にはなっていない紹介レベルのものになっているのがかなり残念な一冊。とはいえ、普通の日本人は知らないことについての情報提供度は高いので、そういうものがお好きな人の手がかり・足がかりになるには充分でありましょうか。19世紀アメリカ女性文学・文化に関する本ということで、翻訳・出版にあたっては巽孝之教授が関係していましたか。