『知の分類史 常識としての博物学』
- 作者: 久我勝利
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/01/01
- メディア: 新書
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分けるとは、すなわち知ること。では、古来、人々はどのように森羅万象を分類してきたのか? アリストテレスの『動物誌』やリンネ、ラマルク、フンボルト『コスモス』など、博物学の豊饒な成果。イシドルス『語源誌』、トマス・アクィナスやベーコン、そしてヘーゲル『エンチュクロペディー』まで至る百科全書の巨人たち、さらには、東洋の百科事典から図書分類、そして21世紀のIT時代の分類術……。有史以来、世界中で行われてきた分類の営みを辿りつつ、知の本質を問い直す。異色の世界史。
【感想】博物学者や図書を扱う人間が、過去の歴史の中で万物をいかに整理して体系化したか、について語っている驚異の本。プリニウスや百科全書、あるいは東洋の天工開物など、誰がどの時代に書いたのか、などというのは高校の世界史では普通に習うわけですが、ではその本の中身はどうなっているか、とか、アリストテレスの本にはどのようなことが書かれているか、とかなんて普通はみんな知らないわけですね。天・地・人に分ける中国の世界観や、ダランベールが人間の知の進化は記憶→理性→想像(歴史→哲学→芸術)だ、としているのはとても面白いことなのでした。しかしまぁ、膨大すぎて日本語に翻訳できていない英知というのは山のようにあるものです。