『徳川将軍家の演出力』

徳川将軍家の演出力 (新潮新書)

徳川将軍家の演出力 (新潮新書)

★『徳川将軍家の演出力』(安藤優一郎/著/新潮社/714円)【→bk1】【→amazon
封建時代の圧政の象徴から暴れん坊まで、徳川将軍は様々イメージされてきたが、江戸時代の人々にとって、実際はどのような存在だったのか。大名は拝謁儀礼、御成、鷹狩り、拝領と献上などのチャンスを使って、将軍との親密さをアピールするとともに家格の向上を図り、町人は町入能で将軍に「成田屋」と声をかけ、「ありがたく」も「勿体ない」存在として誇った。御威光の巧みな演出法にみる葵のブランド戦略。
【感想】中国には及ばないにしても、東洋的非近代社会の極みである江戸時代において、「将軍」がどのように権威づけられ、畏れ多い存在として制度化されていたのか、について、知られていることやあまり知られていないことが書いてある一冊。あの考古学者シュリーマンが将軍・家茂の顔を見たことがあった、とか、川崎大師がどうやって徳川ブランドを利用して厄除けで有名になったのか、とか、ちょっと面白いです。こういう、いかにも新書的な(ていうか、新潮新書的な、かな)本の作りはいろいろな意味で参考にしたいところです。