「集団自決」は日本軍の「関与」があったという感じで落ちつきそうな予感

 これは以下の日記の続きです。
教科書検定での「集団自決」に関するマスコミ報道のまとめ
教科書検定での「集団自決」に関するマスコミ報道のまとめ・2
「集団自決」に関する記述の、文部科学省「村瀬信一」氏の行為に興味を持ちました
沖縄戦の「毒おむすび」について
 
 こんな記事も出て、だいぶ話も煮詰まってきましたので。
asahi.com:集団自決巡る検定意見、全会一致で撤回要求 沖縄県議会 - 政治朝日新聞

集団自決巡る検定意見、全会一致で撤回要求 沖縄県議会
2007年06月22日15時19分
 
 高校生の日本史教科書の検定で、沖縄戦の際に日本軍が住民に集団自決を強制したという記述が削除された問題で、沖縄県議会(定数48)は22日、検定意見の撤回と記述の回復を求める意見書を全会一致で可決した。意見書は集団自決について、「日本軍による関与なしに起こり得なかった」としている。あて先は首相、文部科学相などで、議員団が同日上京し、要請した。
 意見書は、文科省が集団自決について「日本軍の命令があったか明らかではない」「最近の研究成果で軍命はなかったという説がある」としているのに対し、「日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定しようとするものである」と反論している。
 そのうえで、「筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとって、今回の削除・修正は到底容認できるものではない」と批判している。
 意見書を巡っては、野党側は当初、集団自決には「軍の命令・強制・誘導」があったと明記するよう要求。これに対し、自民党が「軍命はなかったとの証言もある」などと難色を示した。だが、県議会として検定意見の撤回を求めることを優先し、「日本軍による関与」との表現で与野党が折り合った。
 7人の沖縄県議団は22日、文部科学省内閣府を訪れた。前島明男・文教厚生委員長によると、文科省側からはこれまでと同様、「検定調査審議会が客観的に判断している」という趣旨の説明しかなかった。前島委員長は面会後、「誠意が感じられない」と語った。
 一方、県内の市町村議会でも検定意見の撤回を求める意見書の可決が相次いでいる。22日現在、41市町村の議会のうち36議会に上っており、残りのほとんどの町村議会も可決する見込みだ。

 沖縄県自民党所属の県会議員・仲里利信さんが積極的なので、「軍の命令」はともかく「軍の関与」は教科書検定的に復活する可能性もある(というか、ひょっとしたら高い?)気がします。どうも政治的決着になりそうなので、もしそうなった場合は「政治的に決着がついた」と書くことにします(メモ)。
教科書検定での「集団自決」に関するマスコミ報道のまとめ」を見ても、報道される限りでは、文部科学省の検定意見は「命令や強制」という表現にあるみたいなので、「関与」(英語でいうと、サジェスト?)だったらどうかなぁ、という感じです。
 どう考えても日本軍に所属する誰かが「お前らみんな死ね」と住民に命令したという書類とか証言は見つかりそうにないし。
 あと、こんなところもちょっと目を通しておきたいテキストなのでした。
原告準備書面(8)の要旨-沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会

(前略)
2 『秘録沖縄戦記』復刻版における《梅澤命令説》《赤松命令説》の削除
 本日提出しました原告準備書面(8)においては、集団自決に関する重要な文献である、『秘録沖縄戦記』の復刻版(甲B53)の記述についても大きく取り上げております。
 すなわち、被告らは、座間味島での集団自決に関する《梅澤命令説》、渡嘉敷島での集団自決に関する《赤松命令説》の真実性を示す有力資料として、昭和33年発行の『秘録沖縄戦史』(乙4)、さらにはそれを著者山川泰邦が全面改訂してタイトルを改めた昭和44年発行の『秘録沖縄戦記』(乙7)を挙げています。確かにそれらには具体的に原告梅澤及び赤松大尉による自決命令が記されていました。
この『秘録沖縄戦記』は長く絶版になっていましたが、昨年10月に、著者山川泰邦の長男であり那覇市役所助役職にあった山川一郎が発行者となり復刻されました。
 注目すべきなのは、この復刻版においては、元版に記載されていた原告梅澤及び赤松大尉による自決命令の記述が、完全に削除されていることであります。
具体的に述べますと、座間味島の集団自決については、次の記述が削除されました。
(島への艦砲射撃が始まった日の部分ですが)「村民に対し梅沢少佐からきびしい命令が伝えられた。それは、『働き得るものは男女を問わず、戦闘に参加せよ。老人、子供は村の忠魂碑前で自決せよ』というものだった。」
 これが復刻版では、原告梅澤による自決命令はおろか、軍の関与を示す叙述も全くなくなっているのです。
 渡嘉敷島についても同様です。元版にありました「赤松隊は住民の保護どころか、無謀にも『住民は集団自決せよ!』と命令する始末だった」との記載が復刻版では完全に削除されたのです。
 この重大な改訂の説明として、復刻版においては、「本復刻版では『沖縄県史第10巻』(1974年)並びに『沖縄資料編集所紀要』(1986年)を参考に、慶良間諸島における集団自決等に関して、本書元版の記述を一部削除した。」と断り書があります。これらの資料の著名性や重要性は、原告側がこれまで指摘してきたところです。

 復刻版が出ていて、記述が違っているとは知りませんでした。
 この『沖縄資料編集所紀要』(1986年)というのは、ちょっと目を通してみたいと思いました。
 あと、これもなかなか面白いです。
【続】5・26沖縄タイムス記事について新証拠を提示:

大阪地裁で続いている「集団自決訴訟」について、被告側(岩波書店大江健三郎氏)にとって不利なことを言っている元琉球政府職員について、経歴詐称だと主張し、証言も信用できないとする沖縄タイムスの記事です。
(中略)
この記事だけ見ると
「なんだ、このじいさんウソつきだったんかよ〜」
と思える巧妙な構成になっていますが、
まず、援護課採用時期については、すでに反証を提示しました。
再掲します。
(後略)

 ということで、話に出てきた照屋昇雄さんの当時の辞令が画像入りで、反証として挙げられています。
 沖縄タイムスの記事が何に由来して出てきたのか(記事の証拠となるものはあるのか)、続報に期待してみます。