広島原爆に限らない「被爆者差別」について
ネットテキスト読んでいて鬱になるのは久しぶりのことですが(最近あんまりネットテキスト読んでないせいもあります。特に2ちゃんねる系はとんとご無沙汰だ)、これはひどい。
→奇形児、障害児、DNA障害
奇形児、障害児、DNA障害
1 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日: 2001/05/13(日) 19:44 id:BrNanya6原爆地域(広島、長崎)、原発地域、放射線技士の間から
異常な子どもが多数生まれているらしい。
三口、ダウン症、先天異常障害、水頭症、無頭症。。。
恐いですねー。朝鮮や部落は門地の問題だけど、遺伝子が破壊された
人は子どもを作る資格はない。
遺伝子異常者に子どもを作らせない国民運動をしよう!
これ読んで、昔の「劣化ウラン弾」関連テキストを思い出した。
→Bra-net : サマワで被曝した自衛隊員たち、から
「きっこのブログ」さんからの、イラクに派兵された自衛隊隊員から、奇形児が生まれたとの記事です。
(中略)
おい、小泉、ネットうよ。
もし、これが本当で、多くの帰還自衛隊員が被曝していたり、子供にその影響が出たとしたら、お前ら、責任取るんだろうな?
飯、食わしていくんだろうな。その前に土下座だが。
あとはコメント欄を参照。
「きっこのブログ」に関するぼくの意見はこんな感じです。
→ステキな俳人・横山きっこさんを応援しませんか
「復興支援で自衛隊のイラク派遣に参加した隊員」の中で「劣化ウラン弾による被爆」をした人間などは存在しません(少なくとも、そのような事実は確認されていません)。「奇形児が生まれた」なんてことはさらにありません。
これは2005年6月時点でのことですが、その後「奇形児が生まれた」という事実はあるんでしょうか。
原爆が遺伝子に影響を与える、という事実は、確かにあることはあるんですが、子孫に影響を与える、なんて話は、田舎のオバさん、おばあちゃんレベルの人間が伝える「都市伝説」以外に聞いたことはありません。
ただ、当時の「被爆者差別」的情報を見てみると、被爆者は子々孫々まで祟られる、という、ある種呪われた人たち、みたいに思われていたみたいで(実際に1950〜60年代の暗黒面を知っているわけではないので、あくまでも感覚として、ですが)、それではみんな、被爆していても被爆者とは名乗らなかったんだろうなぁ、という想像が働きます。
ぼくの昔の日記から。
→放射線と奇形の関係は1960年代の知識で止まっている人が多い
最近とんと劣化ウラン弾の話を聞かなくなりましたが、世界各地の「被爆者」について言及しているテキストを見ると、その中のいくつかに「差別」的ニュアンスを感じてしまうのは気のせいでしょうか(「Bra-net : サマワで被曝した自衛隊員たち、から」や「きっこの日記」の関連テキストがそのいい例なんじゃないかと思います)。
→奇形、奇形児、奇形出産の可能性について
■被爆二世
四八年から六年間、広島、長崎両市の新生児約七万七千人(非被爆者を含む)の奇形、死産、出産直後の死亡などを調査して以来、現在も研究が続く。四六年から八四年に誕生した被爆者の子ども八万八千人を追跡調査。染色体異常やタンパク質の変化についての調査もあったが、現段階では、親が受けた放射線が被爆二世の健康に与える影響は立証されていない。 被爆二世の多くが壮年期を迎え、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の発症と放射線との因果関係を調べる取り組みを二〇〇一年から始めた。
私の生き汚れた身体、血が、ねえ 当時12歳
私も結婚して10年になりますけれど、
まだ将来のことに対してやはり不安がありますので、
子供を作らないように努力しなければならないと思っております。
まあ父も、年老いた父が居りますけれども。
それに孫を早く見せてやりたいなとも思うんですけれども、
もしかして万が一、奇形児でも出てきた時には…
本当に…、と思いましてね。
それを考えると不安ですから、調節しているんですけど。
妻には申し訳〈わけ〉ないと思います、それはねー。
まあ、被爆者の方でもそのまま正常な子供をお産なさって、
まともな身体で生まれて来ている方がいるのを聞きますけれども、
もしかしてそういう風な、私の生き汚れた身体、血が、ねえ、
子孫に残すのも考えものだなと思う…
ちょっと発言した時代が不明なんですが、
→被爆者の声
伊藤明彦さんは、元NBC長崎放送の記者で、
長崎で原爆投下後に被爆地に入り、放射線を浴びました。
1971年から全国の被爆者を訪ね歩いて、直接「被爆者の声」を収録。
ということなので、だいたい1970年代のことでしょうか。
新聞記事を批判的に分析する、こんなテキストも。
→「アレックスサラモネ選手 チェルノブイリ原発事故で障害」記事を検証する
放射線関連でこのような間違った記事や偏向的な記事が目に留まるのはマスメディアの放射線・原子力に対するスタンスもそうであるが、報道する編集者の科学リテラシーの欠如にもあるだろう。
繰り返すが、チェルノブイリ事故での住民被ばく量ではこの記事にあるような異常出産はおきない。
↑のリンク元の「安心科学アカデミー」がまたちょっと、原発推進派の巣窟みたいなので、テキストの扱いには注意が必要ですが。
→『検証!終わりのない戦争 知られざるヒバクシャたち』見ましたか? 8413
それから約20年後、ベトナムで散布された4400万リットルもの枯れ葉剤。
湾岸戦争やイラク戦争で100万発以上投下された劣化ウラン弾。
そこには広島、長崎とのある共通点がある。
戦争が終わっても果てることがない悲劇の連鎖…
ダイオキシンが、放射能が、環境や人体も含む生態系を汚染し、
その負の遺産が終戦後も延々と受け継がれていくのである。
終戦後、ベトナムやイラクの病院は、ガン・白血病患者や奇形の子供たちで
埋め尽くされていった。そして、恐るべき後遺症に見舞われたのは
戦争に参加した米軍の帰還兵やその子供たちも同様であった。
いやはやまったく、被爆の後遺症ってこわいですね、ってか。
→静岡県難病医療連絡協議会 03.静岡県原水爆被害者の会
被爆者から生まれる子供は、一般のそれよりも死産、異状産、虚弱児、奇形児の率が高いといわれます。同じ病気に苦しむものとして、その苦しみを取り除く悲願を、連帯して運動に携わって行きたいと思うものです。
こういうテキストを「被爆者差別」的感覚抜きで読むのは少し難しいと思った。