何かあやしい「常石敬一」という毒ガスの専門家

ええと、まず以下のところをご覧ください。
神栖町井戸水砒素汚染問題で浮かぶ「事実関係照合の拙さ」(そもそも無題ですが何か?(仮題))
要するに「茨城県神栖町で発見された有機ヒ素は、旧日本軍の埋めた毒ガスではなかったっぽい」という報道の分析ですが、以下のところに何やら俺が知っている人が。
噂の東京マガジン:旧日本軍の毒ガス汚染現場

汚染地下水から検出されたのは水質基準の何と450倍に相当する有機ヒ素化合物で、「ジフェニルアルシン酸」という成分が検出された。
この「ジフェニルアルシン酸」は自然界には存在せず、99%以上の確率で旧日本軍の毒ガス原料が化学変化したものだと専門家は言う。
つまり「毒ガスが分解し、地下水に溶け込んだ以外は考えられない」というのだ。

いや、その「専門家」って、常石敬一教授ですから(本日の画像の人)。残念、というか、とほほ。
以前の俺の日記から。
そういえばこんな人が活躍した記憶はありました
サリン事件に登場した「毒ガスの専門家」常石敬一教授を嗤う。
要するに、うかつなことを言って「松本サリン事件」の冤罪を招いた原因の一人だった人。マスコミサイドに「この人はうかつな人を言う人なので、コメントを依頼する場合には注意が必要」という認識を、もう少し持っていたほうがいいと思うんですが、毒ガス・化学兵器の専門家というのはそんなに日本では少ないのでしょうか。
そもそも無題ですが何か?(仮題)」に掲載されていない新聞記事をフォローしておきます。
有機ヒ素化合物、不法投棄か…茨城・神栖の地下水汚染 (読売新聞) - goo ニュース

 井戸水を飲んだ住民の健康被害が表面化した茨城県神栖町の地下水汚染は、旧日本軍の毒ガス兵器「くしゃみ剤」の主成分である有機ヒ素化合物・ジフェニルアルシン酸(DPAA)そのものが不法投棄されたとの見方が強まった。
 DPAAは戦後間もなく、殺虫剤の原料として民間に払い下げられており、環境省はその一部が土中に投棄された可能性が強いとみている。

 DPAAは、自然界に存在せず、民間で製造された記録もないため、同省は当初、土中に投棄された「くしゃみ剤」が汚染原因とみていた。

 しかし、26日までの掘削調査で、高濃度のDPAAを含むコンクリート塊が発見されたが、毒ガス兵器は見つからなかった。このため、同省は毒ガス兵器ではなく、DPAAそのものが投棄されたと判断した。

 では、DPAAは、どこから持ち込まれたのか。毒ガス兵器は戦後、海中や研究施設の敷地などに廃棄されたが、DPAAは農業用の殺虫剤として、一部が業者に安値で売却された。総量や経路は不明だが、ほとんどは使用されず、死蔵されたとみられていた。

 しかし、広島市で1966年、約120トンのドラム缶入りDPAAが放置されているのが見つかり、95年には、兵庫県姫路市に「大阪府内の倉庫でDPAAを大量に保管しているが、ドラム缶の腐食が激しいのでコンクリート詰めにして処理したい」との匿名業者からの相談があった。

 このため、同省は、神栖町のケースも不法投棄されたDPAAが原因とみて、投棄した者の特定を急いでいる。現場では82―85年と93年前後に砂利採取や養魚場の埋め戻しが行われており、地権者や業者から事情を聞いているが、廃棄物処理法での告発には、時効(2000年6月以前は3年)の壁も立ちはだかる。地権者の男性は「とんでもないものが出てきて驚いた。心当たりは全くない」としている。

 長男(3)が発達障害の被害に遭った青塚美幸さん(27)は、「犯人は明らかになってほしいが、誰が捨てたにせよ、製造したのが旧日本軍なら国に責任を取ってほしい」と訴えている。

 一方、小池環境相は21日の閣議後会見で、「汚染源が特定されておらず、コンクリート塊の全体像も不明。今は分析、解明をすることが近隣住民の安心につながると思う」とし、救済策については明確な回答を避けている。

 ◆神栖町の地下水汚染問題=井戸水を飲んだ住民らが手足の震えやめまいなどのヒ素中毒症状を訴え、国が汚染源調査、健康被害対策を行っている。DPAAは136の井戸で検出され、135人が健康被害を認定されている。

どうもこの件も、「政治的に利用されている(反政府的な目的で、情報が恣意的に流されている)」みたいな気がします。

何となく「可能性が高い」ように思われるものをメモしておきます。


1・ジフェニルアルシン酸(DPAA)を作ったのは旧日本軍(海軍)で、目的は毒ガスの原料として利用するため。
2・それを殺虫剤に加工する目的で、戦後払い下げられた業者が、最近になって不法投棄した。
3・毒ガスが分解されてDPAAになった可能性は、分解される前の物質である「ジフェニルシアノアルシンとジフェニルクロロアルシン」がほとんど検出されなかったため、とても低い。「旧日本軍の毒ガス原料が化学変化した」ものだ、ということは99%ありえない。
4・それを「日本軍の毒ガス」と言っている、反政府の主張を持った市民団体(プロ市民団体)が存在する。
5・常石敬一氏とか、神栖町の住民は、その市民団体に利用されている。


しかし常石敬一さん、つくづく「ハズレ」を引く運命にある人みたいです。「化学変化」「旧海軍による不法投棄」ということを言わなければ、かなりの部分で当たっていた(松本サリン事件のような大ハズレではなかった)とは思うんですが。
まぁ、「戦後の業者による不法投棄」までを、旧日本軍のせいにするのは、「不始末で懲戒免職・解雇した元警官とか元自衛官が犯罪をおかしたときに、その原因を警察庁防衛庁のせいにする」のと同じぐらいひどいことのように俺には思えますが…。
この事件は、まだ今後の展開として、不法投棄による逮捕者が出そうなので少し注目してみたいです。旧日本軍の毒ガスと関係ある、みたいな視点から行動していた市民団体(プロ市民団体)の、その後の動きに関しても。

↓これは以下の日記に続きます
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20050308#p2