エロっぽくて検定が通らなかった英語の教科書
今回の教科書検定に関しては、沖縄戦の集団自決に関して話しているところ(新聞記事も含めて)が多かったんですが、こんなネタもありました。
見出しはアレなんですが、以下のところから。
→特集:06年度教科書検定 沖縄戦集団自決、「日本軍の命令」に意見 研究者から賛否−話題:MSN毎日インタラクティブ
◇ネット活用に待った 「生殖産業」→「有害サイト」と
「米国の精子や卵子の提供、代理母を仲介する企業のホームページ(HP)にアクセスしよう」という倫理の記述に対し、「外国の生殖産業のHPに直接アクセスさせるのは学習活動に必要な配慮を欠いている」との検定意見が付いた。
文科省によると、「精子」や「卵子」などの単語をインターネットで検索した場合、18歳未満閲覧禁止のHPにつながる恐れがあることから検定意見が付いたという。出版社側はこの記述を削除した。
記述の削除について、文科省は「インターネットを使って学習内容を調べるケースも増えており、議論をするきっかけにもなったはずだ。審議会でも『削除は残念』という意見が出た」と話し、今後の検討課題に「学習におけるネット利用」を挙げた。
まずこの段階で「コーヒー吹いた」わけですが、それよりすごいのはこれでした。
◇青春小説に「性的な描写」
英語2では、1930年代のアメリカ南部の農場を舞台に、若い男女の青春の一コマを描いた短編小説「The Strawberry Season」に「健全な情操の育成について必要な配慮を欠いている」との検定意見が相次ぎ、教科書会社が全文を削除した。
「男は子どもも大人も彼女(主人公)が好きで、彼女は決して怒らなかった」という記述に対し、検定意見では「決して怒らない、男性にとって都合の良い女性ととらえられ、性差別を助長する」と指摘された。
また、いちごを服の中に入れるいたずらの後、「(主人公の女性は)ドレスのボタンを外し、腰まで下げた。いちごは下着の中でドロドロになっていた」「(女性は)下着を外した。いちごは彼女の乳房の間でつぶれていた」などの記述が「性的描写」とされ、「健全な情操の育成について必要な配慮を欠いている」と意見が付いた。
文科省は「義務教育段階と違い、高校生の場合は一律に性的描写の基準を決めがたい。今回の場合はこの作品が、性差別を助長する作品と判断された」としている。
いちごダメなのかぁ。「ドロドロになっていた」「乳房」は、その教科書で勉強すると必須暗記単語になるのか、少し興味を持ちました。
ということで、調べてみたらこのようなテキストがありました。何でも調べるなぁ俺。
→石川有香:フェミニズム言語学関連業績(共著書・論文)
ことばと文化:改作の問題−E. Caldwellの"The Strawberry Season"をめぐって−
言語文化学会論集第3号pp.141-153
言語文化学会1994年11月1日
高校用英語科教科書78冊を対象に、文学作品の収録状況を調査したところ、最も採録頻度の高い散文作品はE.Caldwellの"The Strawberry Season"であり、計5冊の教科書に現れていることが分かった。しかしながら、それらはすべて、何らかの改作が施されていたのである。ここでは、それぞれの教科書に収録された改作作品を,書き換え・削除・加筆という3つの観点から,原作と比較し,改作作品の収録をめぐる問題点を指摘する。(13頁)
へぇ。
→ぜろだまBlog〜Mode:Chaff: 記憶 アーカイブ
高校の英語の教科書(どこのだったか忘れたが)に、アースキン・コールドウェルの「Strawberry season」という短編が採用されていた。
教科書には珍しく、思春期の少年のほのかな恋情を描いた短編で、ちょっとだけエロかったことが記憶に残っている。でも、詳しいシーンは忘れてしまった。
・農園で苺摘みをする少年の間では、「気になる女の子の胸元に苺を入れ、それを叩いて潰す」という、ちょっとエロいイタズラが流行っていた。
・主人公には、Fannyという憧れの女の子がいた。
・二人で作業をしている時、偶然だか、ラブコメ的なハプニングだかで、fannyの胸元に苺が入り、それを叩いて潰してしまう。
・その苺を取ってやる
みたいな話だったと思う(何もかもうろ覚えで申し訳ない)。なんか全体的に切ない感じの話だった。
特に3・4番目のあたりの描写が、何かこうぼかしたような感じで、逆に「これはもっとエロい行為の隠喩なのではないか?」と深読みを誘う話だった。
「潰れた苺をつまむ」なんて、いかにもなイメージじゃありませんかお客さん。
「これ何てエロゲ?」と言いたくなるような話のニオイがしてきました。
以下のところに翻訳が少し載ってました。
→〓Smokin'gaL 九州編:The Strawberry Season/Erslkin Caldwell
苺が熟れ始める初春には、誰もが苺摘みを手伝いにあちらこちらに駆けずっていたものだった。
苺がよく熟れ、収穫時期になったら一つの畑に35、40人ものいることもざら。
中には家族を引き連れ、苺を取り尽くしたらさっさと次の畑に向かう、そんな男もいた。
苺摘みの人々は小屋の中で寝たり、それがないならどこか場所を見つけ寝た。
そして苺の収穫時期はとても短いものだったから、皆朝から晩まで働かねばならなかった。
(中略)
ファニー・フォーブスという、いつもしゃがんでスカートの中を見せる子がいた。皆彼女を大好きだった。
うわー。
元テキストが猛烈に読みたいのだけれど、Erskine Caldwellさんは1987年に死んでいるため、版権の問題でフリーテキストにはなっていません。
まぁみんなアマゾンで検索かけてみてください。
→the strawberry season Erskine Caldwell - Google 検索
大学の教養課程ぐらいの英文テキストとしては、普通に使われているみたいです。
これは以下の日記に続きます。
→愛・蔵太の少し調べて書く日記 - エロい英語の教科書の話・続き