木下黄太さん「甲状腺結節」という言葉を使いたくて煽り見出しを捏造する

 2ちゃんねらーレベル、というか捏造ジャーナリストレベル
 これなんだけどさ。
のう胞や甲状腺結節などの異常が、ベラルーシ・ゴメリ地方の36倍も、福島で多発しているという医師の見解。 - 放射能防御プロジェクト 木下黄太のブログ  「福島第一原発を考えます」
 福島県の元データはこちら。
第6回福島県「県民健康管理調査」検討委員会 次第
 医師の見解として引用されているテキスト。

北海道深川市立病院内科の松崎道幸医師より以下コメントをいただきました。
 
1.甲状腺の「結節」には充実性の腫瘍だけを指す場合と、腫瘍とのう胞の両方を指す場合があります。論文によって、定義はいろいろです。
2.今回の福島県調査(事故後12か月まで)では、「結節」と「のう胞」を分けて記述してありますので、「結節」の頻度=充実性腫瘍の頻度とみなすことができます。
3.今回の福島調査の結果を次のようにまとめることができます。:事故から1年後までの検診(18歳以下)甲状腺結節1.0% のう胞35.1%
4.過去の諸外国の未成年を対象とした甲状腺検診の結果と対比してこのデータを検討してみますと、
 
(1)チェルノブイリ・ゴメリ地方(福島市かそれ以上の汚染地域)における山下氏の検診成績
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm
 
1991年5月から1996年4月までの5年間で現地周辺12万人の調査解析を終了。つまりチェルノ事故の5年後から10年後までのデータを見ると、ゴメリ地域のこどもの甲状腺結節検出率は1.74%だった。
 
ということで、この「甲状腺結節」の頻度が「のう腫」を含む頻度だったなら、福島はチェルノブイリ・ゴメリ地方の36倍も高率に甲状腺の形態異常が発生しているということになります。他方「のう胞」を含まない頻度だったならば、福島県調査とほぼ同じレベルの甲状腺結節出現頻度であると考えられます。ただし、福島調査が放射線被ばくの1年以内のデータである一方、チェルノブイリデータは被ばく後5〜10年経った時点でのデータであるので、「福島では、被ばくから1年経った時点で、チェルノブイリ・ゴメリ地方の被ばくから5〜10年経った時点と同じ甲状腺腫瘍の発生率となっている」と言うことができます。放射線被ばくから年数がたつにつれて、甲状腺がんが増えるわけですから、未だガンかどうかの鑑別が付かないにしても、甲状腺の中に「しこり」が発生することは、将来の甲状腺がんの発生の恐れを示している可能性があるわけで、注意深く追跡する必要があると思います。
 
(2)慢性ヨード不足地域であるクロアチアの約5500名の11〜18歳児の甲状腺検診
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1029709/pdf/archdisch00562-0027.pdf
 
甲状腺結節(結節にはのう胞を含む)検出率は0.055%(アロカ社の超音波装置で検査)でした。これは、福島調査の「結節」+「のう胞」検出率36%の70分の1という超低率です。百歩譲って「のう胞を含まない結節だけ」の頻度=1.0%と比べても、20分の1という低率です。10数年前の調査とはいえ、超音波診断技術にそれほど差があるとは考えにくいわけで、クロアチアよりも福島のこどもたちに甲状腺異常が多発している懸念を払拭できません。
 
以上の検討から、日本人の「平時」のこどものデータがないために、断定的なことは言えませんが、科学的な手法による福島のこどもたちの甲状腺のモニタリングをしっかり続けることが何よりも必要であると考えます。

                                                                                松崎道幸

 医師としては慎重な言い回しだと思います。
「この「甲状腺結節」の頻度が「のう腫」を含む頻度だったなら」って、仮定をなぜ断定に直して「36倍」と吹きやがるですかね、木下さん?
 あといくら「アロカ社の超音波装置」でも、検出率は0.055%はちょっと低すぎると思いますが…どうですかね?
 それから、チェルノブイリの調査を福島の調査に当てはめて何か考えるのは、「甲状腺結節」に関しては少し無理がありすぎる気がする。調査方法同じ気がしない。同じ時期に同じ調査方法で、日本全国でどのくらい出てるか、を見て、福島がどんな感じなのか、というデータがないといかんですよ。だいたいなんで「5.0mm」以上・以下になっているのかさっぱり分からない。
 スケジュール的にはこんな感じなので。

(2) 実施スケジュール
平成23年10月から平成26年3月までに、先行検査(現状確認のための検査)として対象全県民に検査を実施する。
また、平成26年4月以降は、本格検査として20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとに検査を行い、生涯にわたり県民の健康を見守る予定。なお、対象者を平成24年4月1日までに生まれた者に拡大して行う。

 2014年3月までに全県民の先行検査(現状確認のための検査)、なんだけど、それまでみんな覚えていられるかな? 異状確認のためなら、それから先も覚えてないといけないよ? 
 
(2012年5月2日追記)
 こっちも参照。
子どもたちの甲状腺異常:福島と長崎の差が著しい!というデータの見方 - Togetter

さらにこれも一読していただくと、この「始まったばかりのスクリーニング検査で早くも騒ぎ始める気の早い人たち」の出現は想定内だとお分かりいただけるかと。余裕の平常運転です。 http://togetter.com/li/241058

甲状腺異常の検査の話は、これまでにも何度か話題に。一般的な現象として小さなのう胞がたくさんあり、それを異常とすると本当の異常が見つからなくなるなんて話は繰り返してましたよね。それを岩上さんが知らないとは思えないのだけど

 …繰り返すけど、福島のは、これからどういう病気になるかっていう「現状確認のための検査」だよ?