反原発ブログの「ざまあみやがれい!」にも「情報隠蔽」と批判される木下黄太さんって…

 以下のテキストから。
木下黄太ブログのある記事が「情報隠蔽」(デマとは違う)だと僕が考える理由・自己責任論者に欠落してること:2ネタ:ざまあみやがれい!

繰り返しになるけれども、木下氏は断定の裏付けとなる情報について、出来る限り信頼を勝ち取ろうとする記述をしていない。それは「何かを隠している」という印象や、あるいは「何も根拠がないのではないか」という疑いを、木下氏が知り得た情報を共有できないでいる人々の心に育ててしまう。

 ぼく自身の考えはこちらなど。
木下黄太氏の△△ブログ信じる奴らは○○○で××××した奴らぐらい何かに弱い(第三者に確認できない情報の扱いについて)
「友人の親戚の知り合いが甲状腺に異常!」なんて情報(精査が不十分な伝聞情報)をいくら回しても、放射性物質の影響とかの話をするには「友人の親戚の知り合いが住む裏山のトンネルで毎晩幽霊が!」レベルの放射能怪談にしかならない、ってことは分りますね? 要するに、その情報が意味を持つためには、「情報源を明らかに」ということが難しいなら、それは第三者にも確認可能な事象なのか、そして統計的に意味があるのか(木下さんは算数ができるのか)という事実確認が必要だと思っています。
 ぼく自身の「ざまあみやがれい!」の評価は、第三者にも確認可能な情報に当たる(あるいは、どういう人がどういうデマを流しているかを知る)ための窓口として有効に利用できるブログかな、という感じです。
 
 木下黄太さんに関しては、以下のところにまとめがあります。
木下黄太さんが吹いたデマ(というより、事実の確認が徹底していない情報)リスト

「不良出版物」に関する1955年5月12日の正宗白鳥の意見

 悪書追放運動当時の新聞テキストから。誤字とか読み間違いはお許しください。
 朝日新聞1955年5月12日より。

不良出版物の排斥 正宗白鳥
 
 このごろ、不良出版物排斥の声がかまびすしい。少年時代に読むもの、見るもの、聞くものから受ける感化は、一生ぬぐい難いほどに強烈なのだから、警戒を要するのである。不良物排斥不良物取締りは当然である。
 私などの少年時代には、少年のための読物はまだ出現していなかった。私などは娯楽物としても大人の読むものを、早くから読んでいたのであった。芝居のような聞くものでも、大人同様に見聞きしていたのだ。保護者がむとんじゃくなためであったが、私はそのために精神的害毒を受けたこと少なくなかったと思っている。幼い頭で「梅暦」でも「怪談」でも、戦争物でも読んでいた。残忍な残虐行為や、今日の舞台では見られないほどのいんわいな態度を、田舎の小屋掛芝居で見たのであった。今日の少年向きの漫画がどんなに不良であるか、私はまだ見たことがないので比較されないが、私が、まだ心の純白だった幼少時代に読んだり見たりしたものよりも、不良振りが激しいようには思われない
 読む者観るものばかりではない。少年の実際の社会生活そのものがいけなかった。生れつきの強気な少年は、動物虐待を好み、戦争の真似をしたがり、弱いものいじめを楽しみ、弱気な少年は、強者にこび、そのごきげんを取って戦々キョウキョウ、生存を保っていたのだ。私は早くから実人生の真相をそこに見たごとくに回顧するのである。弱気で卑屈な少年でも強いがき大将にいじめられながら、自分で進んで動物虐待仲間に入ったり、陸軍大将をどうけいしたりした。私自身も西郷隆盛なんかを崇拝したことがあったのだと思うとこっけいな感じがする。
 良書不良書の区別はどこにあるか。私は子供の時分に読んだ書物を回顧すると、大抵は不良であったと思う。仮りに私に年少の子女があったとすると、私が少年時代に読んだものの多くを読ませたくない。それとともに、今日の書物の多くを読ませたくないように思う。殊に小説なんかは、知名の作家のものでも読ませたくない。しかし、そういう小説のたぐいの好きな年少者は人目を忍んででも読むだろうと思われる。何が不良書かというと、多分殺人行為冒険行為いんわい行為などを、むき出しに、あるいはおぼろ気に描いたものであろうが、万物の霊長である人間も、こういう事には最も興味を感ずるのだから、傍からそれを撲滅しようたって、つまりは不可能であるはずで、クソ真面目にそんな事を考えている人間がバカに見えそうである。
 それに取締り方法は、昔と違い面倒になっているのじゃないか。徹底的取締りをしようとすると、当り障りがあって、傍から苦情が出るにちがいない。どこらで良と不良の区別をしていいか、だれにもはっきり分るはずはないので、議論粉出して止まる所を知らぬ有様になるだろう。
 私は昔不良書をデキ(溺)読したことを回顧して、老後の今日、読書欲の著るしく衰えたことを感ずる。刺激のつよい不良書のすべてが面白くなくなったのだ。「中間雑誌」として公認されている程度の雑誌を採って、そこに居を占めている多くの小説のあれこれを走り読みしても、汚らしいことを、こせこせと書込んでいるのに接すると気持悪くなるのである。快感なんかちっともなく、むしろおおとを催すのである。それ等雑誌が、小説以外にも、あくせくとして不良記事をほのめかさんとしている感じのするのは老人の思い過しででもあるか。下々の不良雑誌でなくっても「中間的不良雑誌」が案外多いのではあるまいか。
 しかし、翻って考うるに、不良ものに興味を感ずるのは、少年期以来の人間の本性であり、そこに人間性のはつらつたるものを読むべきで、私などのように、不良記事や不良見せ物などに、真のけんおを覚えるようになったのは、そこに人間としての心身の衰えを見るべきであろう。(作家)

 元不良少年で現在回顧老人の作家・正宗白鳥さんらしい意見ですが、このテキストは漫画には全然触れてませんね?
 ちなみにこの当時正宗白鳥さん76歳。
 
「悪書追放運動」に関するもくじリンク集を作りました。
1955年の悪書追放運動に関するもくじリンク

朝日新聞1955年4月27日の記事「悪書追放 出版界、自粛へ動く 近く倫理化に実行委」

 悪書追放運動当時の新聞テキストから。誤字とか読み間違いはお許しください。
 だらだらと当時の新聞記事の事実報道を載せてみます。

悪書追放 出版界、自粛へ動く 近く倫理化に実行委
 
 さる二十日、東京神田の教育会館で母親たちが出版業者にもの申した「子どもを悪書から守るための懇談会」を頂点に、警視庁も断固悪書の大量摘発に乗出す決意を固めるなど「不良出版物」追放の声は、出版界に深刻な“自粛旋風”をまき起している。「世論にたたかれ、おまけに法による取締りの線をちらつかされては、うっかりしておれない」というのが業者間の声。母親たちの投じた一石が出版界に「出版デフレ」以後最大の波紋を描いた形。都内の業界では出版-取次-小売の全ルートを通じる出版浄化運動に乗出している。
 
避けたい検閲の立法化
 
 終戦直後の出版ブームで全国に三千を越えた出版業者は乱立整理期を経てその約三分の一に減少、ようやく立直り期に入ったところだった。業者の中には「雑誌も商品だから、需要は無視できない」「俗悪さは社会悪の反映だから、いちがいに業者だけを責めるのは当らぬ」といった議論もちらほらあるが、「ひどい雑誌があるという事実は業者も一様に感じているので、全体として大きく自粛の方向に向っている」(日本出版協会、川崎専務理事談)という。
 セックス雑誌の王座をしめていた某誌が六月号限り廃刊を決定したのもこの現われだし、出版業者の連絡機関である日本出版協会では近日中に「出版倫理化実行委員会」なるものを結成して取次、小売両機関と合同の不良出版物締め出し計画を進めるという。同協会の話では「企画を大急ぎで変更した雑誌も二、三ある。問題は悪書の線をどこで引くかという点で、協会にその基準を問合せてくる出版業者が少なくない」というから、業界の自粛ぶりも相当盛り上りつつあるようだ。
 小売業者の間でも俗悪な出版物はボイコットしようという動きがある。出版物小売組合の中野、杉並支部支部長、光南堂書店前田正平氏)は支部月報に「各出版社に与う」というゲキ文を作り「もう一度手にとって静かに考えて下さい」と全都支部長会議で発表して、全小売業者に訴える計画だという。「こんなもの、ひどいなと思いながら、商売だから売っているのが現状です。小売業者だって信念はもってることを示してもいい時期です。第一着手として、ひどいものは店の方すみに積んで、できるだけお客さんの目に触れないようにします」と同支部長はいっている。
 取次業者の連合体「出版取次懇話会」でも出版ルート三者共同に協力の気構えをみせて悪書追放の委員を選び出し、いまから具体案を練ろうとの計画。この動きに出版美術家連盟でも二十五日夜、神田の地下鉄ビルに集って「出版物の内容検討の会」を開いた。ゾッキ本屋が多く参加している全国出版物卸商協同組合でも「発行責任者とその所在の不明なものは一切扱わない」むね発表、悪書追放の波紋はますますひろがっていく。
 しかし、この自粛運動の背景には「検閲の立法化」という戦前なみの圧迫を、事前に避けようという気持があることは争えない。出版協会の会合などでも「法でしばられる不面目を招くな」という議論が並行して上っており、一方には「読者の方でもエロ、グロを排斥するだけの良識を育ててもらいたい」という希望が業界全体にみられる。

 このあたりの動きを見ると、悪書=漫画というわけでもない感じがします。「不良出版物」ってまあエロ・グロ系ですかね。どこらへんで「ほぼ漫画」になって伝わっているかというと、やっぱ手塚治虫のせいかな? あとでどんどん関係テキスト出して来ますけど、児童雑誌バッシングというのは確かに存在したみたいなんですが、手塚治虫の漫画がもっぱら叩かれていた、ということはありませんでした。
 
「悪書追放運動」に関するもくじリンク集を作りました。
1955年の悪書追放運動に関するもくじリンク

本日のTogetter

ツイッターをまとめよう - Togetter」から新着で面白そうなのを拾います。
・実況や講演・TV放送まとめ(tsudaり)系は入れてません。
・偏ってます(軍事・アニメ・出版・原発系)。
・全部は見ていません。
・飽きたらやめます。
・コメントがつけられないまとめは拾いません。
 
シュルレアリスムとコラージュについての雑談
多分ステマになってると思うけど面白かった。
木下黄太他1名は危険の最大値らしい
○○の壁…い、いいや、ここはスタイリッシュに「狂気の山脈」とか…。ガイガーカウンター、テケ・リ・リと鳴る。
金魚椿から始まる理系思考の反省
「もっと勉強してください」って言われると普通むかつく。
RRof3Rさんによる題して「ごみセメントじゃないんです。見方を変えればエコなんです(産業者目線)」
「差別する人は差別されるよ」という言説は差別の容認になるようです。
30秒で分かる上杉隆氏のインチキ
レンゴー社製の不思議な放射線遮蔽シート
上杉隆の有料メルマガ【月額840円】はどう考えてもぼったくり
南北戦争時の両軍の将について他
#被曝ラーメン タグを工作する、フリー記者 鈴木博喜(s_hiroki24)
オオカミ導入の安全性についての一議論
子どもたちの甲状腺異常:福島と長崎の差が著しい!というデータの見方
「甲状腺被ばく」河北新報ニュースとETV特集について
産婦人科医と助産師のみ「骨盤ケア」について
【セシウム不検出は】ヤマサ・キッコーマンの受難【検出も同じ】
結果は「検出限界値未満」→めんつゆからも検出→何を買えばいいのやらTT…これ、一番ひどいツイートをまとめてるだけのようにしか思えない。
リスクに関する対照的な意見
キーワード「脱放射脳」で拾ってみる(除く白井由佳氏発言)
大和田さんの「いまの20歳前後の学生の間での「ブルース」の不人気ぶりにはちょっと驚く。みんなカントリーの方が興味あるんだよなあ。」から始まったブルースに関するあれこれ
コメント欄がない『江川紹子さんに無視された質問群』と言うまとめへのコメント
#英雄橋 先生曰く「もっと間違いに寛容になってもいいんじゃない」

木下黄太さんに反核運動家のヘレン・カルディコット氏の甲状腺の話を「メールで聞きました」情報を回されても…

 これなんだけどね。
カルディコット医師の警告「子供に甲状腺結節やのう胞があるのは、まるで普通ではありません」 - 放射能防御プロジェクト 木下黄太のブログ  「福島第一原発を考えます」

 さて、著名な小児科医で、被曝の問題に詳しい、オーストラリアのヘレン・カルディコット博士に、福島の甲状腺スクリーニングの結果をメールして意見を聞いたら、返事が来ました。 平時の集団のデータがないので(この時点でこの論文データを示せていない)、今回の結果をどう判断して良いか分からないけど、何か意見がありますか?と聞きました。
 
ヘレン・カルディコット博士からの返信。
 
 These children should not be followed up, all their lesions -- cysts and nodules should immediately be biopsied to assess whether or not they are malignant. They are appearing very early, less than one year, and we would not normally expect them to appear for about 5 to 10 years, which means these children received a very high dose. If they are malignant then they will need total thyroidectomies. It is not normal at all for children to have thyroid nodules or cysts!
 
この子供達は追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や結節などの全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきです。 こういった甲状腺異常が一年も経たないうちに現れるというのは早過ぎます。普通は5-10年かかるものです。これは、子供達が大変高線量の被曝をしたことを意味します。 もしも悪性なら、甲状腺の全摘出が必要です。 子供達に甲状腺結節やのう胞があるのは、まるで普通ではありません!」
 
 彼女の解説では甲状腺で、のう胞や結節が子供におきることは、尋常な話ではないという認識という事です。また、一年という時間の経過の中でおきたのは、早すぎるというのは、チェルノブイリのときに起きていた現象よりも、あきらかに早いというこです。彼女は、こうした事象は「高線量の被曝」によっておきると言っています。ことは、低線量被ばくではありません。早期にこうした体の異変が起きている事は。福島だけではありません。東葛や茨城は言うに及ばず、東京の二十三区や多摩地域、宮城、神奈川からも報告が相次いでいます。福島のみならず、南東北、関東一円のエリアの被曝は尋常ではありません。多くの女性や子供たちに甲状腺の異常が出てくると思います。緊急に、いろんな検査を全体で進める必要があります。事態は、猶予がありません。まったく、猶予がありません。

 …著名?
 よりによって「劣化ウラン弾は核兵器だ」の人ですか。

ヘレン・カルディコット 核政策研究所創立者・所長。核が健康に及ぼす影響について、大衆啓蒙のための国際キャンペーンに従事。近著『新たな核の危険 ジョージ・ W・ブッシュの軍産複合体』(The New Press, 2002)

 国内でも普通に探せば甲状腺の専門医いると思うんだけど、いないんですかね?
 基本的に木下黄太さんが「○○に聞いた」という情報(伝聞情報)は、ソースが不明なうえ、ちゃんと情報を回している(相手に伝えている)かどうか疑問なんですけどね。
 
 普通のリテラシーの人なら、こんな感じの流れになります。
1・俺に読めるテキストソースどこかにある? →ありません
2・お前のテキストが元テキストと同じだっていう、責任の担保は何かある? →ありません
3・じゃあそのテキストについて何も言えんわ。ごめんね。
 最近だとgoogle翻訳あるから、元テキストへのリンクとかあったら、頑張って読むかな? 木下黄太さん、元テキストのリンク先、メールで教えましたか?
 
 正直、「高線量の被曝」ってところですでにヘレン・カルディコットさん福島について何も分かってないのでは…?
 あともちろん、「木下黄太さんがヘレン・カルディコット氏から受け取ったメールの返事」が本物なのかどうか、何の確認手段もありません。ヘレン・カルディコット氏の公式サイトにやりとりが掲載されていれば別。
 
 木下黄太さんに関しては、以下のところにまとめがあります。
木下黄太さんが吹いたデマ(というより、事実の確認が徹底していない情報)リスト
 

本日のTogetter

ツイッターをまとめよう - Togetter」から新着で面白そうなのを拾います。
・実況や講演・TV放送まとめ(tsudaり)系は入れてません。
・偏ってます(軍事・アニメ・出版・原発系)。
・全部は見ていません。
・飽きたらやめます。
・コメントがつけられないまとめは拾いません。
 
映画「スーパーヒーロー大戦」プロデューサー白倉伸一郎さん、作品へのクレームに応える(仮題)
急進的反原発派風TWを”釣り餌”にして喜ぶ低脳どアホと仲間たち
こんな奴が出てくるのも多分放射能のせい。
再販制度の詳細で異常な日常。
アマゾンは去年の段階で大阪屋から日販に変わってるんだけどね(書籍)。
がちお氏、女性専用車でやった「あること」で事情聴取を受けるの巻
「放射能 バス事故」で検索したらこんな感じ
去年のことを考えると、次のネタはそろそろ熱中症と鼻血かな?
木下黄太、ラノベ書き・葵東を職業差別する
僕のブログやw放射能防御プロジェクトのHPwww 野良測定キター。
【やってみた】エアーカウンターを腹に当ててみた
「ダム湖底の泥がセシウム含有→東京の水道水は飲めない」という思考の飛躍について。
onokenさんの、ファンが「いつもYoutubeで聞いてます!」ってメールくれる件。
学校図書館から『はだしのゲン』を撤去するよう要求する“歩く有害情報”な人々
きくまこ先生『社民党はまともな科学アドバイザーを雇うべき』
アニメ監督・佐山聖子氏、コンテと演出の分担について語る。
宗教法人課税は、多額納税団体の影響力を増大させるか?(続「ちょっと待った、宗教法人への課税」)
上杉隆がまた嘘!江川紹子「わらし上杉氏から手紙なんかもらってませんけど」 @uesugitakashi
ロシアの童話「三匹の熊」に見る呼称のトリビア
町山智浩「記者クラブは日本だけ」という上杉隆のウソ @uesugitakashi
東海アマ氏「気の毒だが彼女は5年持たないだろう。早い時期に死亡すると思う」100%の確率だそうです
アニメ制作・イシヰヒトシ氏と今のアニメの不満点について語る。

木下黄太さん「甲状腺結節」という言葉を使いたくて煽り見出しを捏造する

 2ちゃんねらーレベル、というか捏造ジャーナリストレベル
 これなんだけどさ。
のう胞や甲状腺結節などの異常が、ベラルーシ・ゴメリ地方の36倍も、福島で多発しているという医師の見解。 - 放射能防御プロジェクト 木下黄太のブログ  「福島第一原発を考えます」
 福島県の元データはこちら。
第6回福島県「県民健康管理調査」検討委員会 次第
 医師の見解として引用されているテキスト。

北海道深川市立病院内科の松崎道幸医師より以下コメントをいただきました。
 
1.甲状腺の「結節」には充実性の腫瘍だけを指す場合と、腫瘍とのう胞の両方を指す場合があります。論文によって、定義はいろいろです。
2.今回の福島県調査(事故後12か月まで)では、「結節」と「のう胞」を分けて記述してありますので、「結節」の頻度=充実性腫瘍の頻度とみなすことができます。
3.今回の福島調査の結果を次のようにまとめることができます。:事故から1年後までの検診(18歳以下)甲状腺結節1.0% のう胞35.1%
4.過去の諸外国の未成年を対象とした甲状腺検診の結果と対比してこのデータを検討してみますと、
 
(1)チェルノブイリ・ゴメリ地方(福島市かそれ以上の汚染地域)における山下氏の検診成績
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm
 
1991年5月から1996年4月までの5年間で現地周辺12万人の調査解析を終了。つまりチェルノ事故の5年後から10年後までのデータを見ると、ゴメリ地域のこどもの甲状腺結節検出率は1.74%だった。
 
ということで、この「甲状腺結節」の頻度が「のう腫」を含む頻度だったなら、福島はチェルノブイリ・ゴメリ地方の36倍も高率に甲状腺の形態異常が発生しているということになります。他方「のう胞」を含まない頻度だったならば、福島県調査とほぼ同じレベルの甲状腺結節出現頻度であると考えられます。ただし、福島調査が放射線被ばくの1年以内のデータである一方、チェルノブイリデータは被ばく後5〜10年経った時点でのデータであるので、「福島では、被ばくから1年経った時点で、チェルノブイリ・ゴメリ地方の被ばくから5〜10年経った時点と同じ甲状腺腫瘍の発生率となっている」と言うことができます。放射線被ばくから年数がたつにつれて、甲状腺がんが増えるわけですから、未だガンかどうかの鑑別が付かないにしても、甲状腺の中に「しこり」が発生することは、将来の甲状腺がんの発生の恐れを示している可能性があるわけで、注意深く追跡する必要があると思います。
 
(2)慢性ヨード不足地域であるクロアチアの約5500名の11〜18歳児の甲状腺検診
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1029709/pdf/archdisch00562-0027.pdf
 
甲状腺結節(結節にはのう胞を含む)検出率は0.055%(アロカ社の超音波装置で検査)でした。これは、福島調査の「結節」+「のう胞」検出率36%の70分の1という超低率です。百歩譲って「のう胞を含まない結節だけ」の頻度=1.0%と比べても、20分の1という低率です。10数年前の調査とはいえ、超音波診断技術にそれほど差があるとは考えにくいわけで、クロアチアよりも福島のこどもたちに甲状腺異常が多発している懸念を払拭できません。
 
以上の検討から、日本人の「平時」のこどものデータがないために、断定的なことは言えませんが、科学的な手法による福島のこどもたちの甲状腺のモニタリングをしっかり続けることが何よりも必要であると考えます。

                                                                                松崎道幸

 医師としては慎重な言い回しだと思います。
「この「甲状腺結節」の頻度が「のう腫」を含む頻度だったなら」って、仮定をなぜ断定に直して「36倍」と吹きやがるですかね、木下さん?
 あといくら「アロカ社の超音波装置」でも、検出率は0.055%はちょっと低すぎると思いますが…どうですかね?
 それから、チェルノブイリの調査を福島の調査に当てはめて何か考えるのは、「甲状腺結節」に関しては少し無理がありすぎる気がする。調査方法同じ気がしない。同じ時期に同じ調査方法で、日本全国でどのくらい出てるか、を見て、福島がどんな感じなのか、というデータがないといかんですよ。だいたいなんで「5.0mm」以上・以下になっているのかさっぱり分からない。
 スケジュール的にはこんな感じなので。

(2) 実施スケジュール
平成23年10月から平成26年3月までに、先行検査(現状確認のための検査)として対象全県民に検査を実施する。
また、平成26年4月以降は、本格検査として20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとに検査を行い、生涯にわたり県民の健康を見守る予定。なお、対象者を平成24年4月1日までに生まれた者に拡大して行う。

 2014年3月までに全県民の先行検査(現状確認のための検査)、なんだけど、それまでみんな覚えていられるかな? 異状確認のためなら、それから先も覚えてないといけないよ? 
 
(2012年5月2日追記)
 こっちも参照。
子どもたちの甲状腺異常:福島と長崎の差が著しい!というデータの見方 - Togetter

さらにこれも一読していただくと、この「始まったばかりのスクリーニング検査で早くも騒ぎ始める気の早い人たち」の出現は想定内だとお分かりいただけるかと。余裕の平常運転です。 http://togetter.com/li/241058

甲状腺異常の検査の話は、これまでにも何度か話題に。一般的な現象として小さなのう胞がたくさんあり、それを異常とすると本当の異常が見つからなくなるなんて話は繰り返してましたよね。それを岩上さんが知らないとは思えないのだけど

 …繰り返すけど、福島のは、これからどういう病気になるかっていう「現状確認のための検査」だよ?