「ホピ族の予言」って第二次大戦後作られたフカシじゃないの?(インディアン)

lovelovedog2012-01-21

 ということで、ホピ族の予言、「灰のつまったひょうたん」=「福島原発」なのでは! と、一部スピリチュアルな人がにぎやかなわけですが。
 
福島第一原発事故を予言!? 驚異の予言的中・ホピ族より日本へ緊急メッセージ! - リアルライブ

 実は、ホピ族にはある恐ろしい予言が伝えられていた。
 母なる大地から心臓をえぐり出してはならない、もしえぐり取ったならば、それは灰のつまった瓢箪と化し、空から降り、やがて世界を破滅に導く。この瓢箪の灰は、恐ろしい破壊力を持ち、川を煮えたぎらせ、大地を焼き尽くし、生命が育たなくなる。そして人々は不治の奇病に苦しむのだ。
 これは、広島・長崎に投下された原子爆弾のことである。ホピ族は原子爆弾の事を「灰がつまった瓢箪」と表現している。そして「恐ろしい破壊力を持つ灰」とはウランのことである。しかも皮肉なことに、広島・長崎の原爆の原料のウランは、ホピ族が住まう聖地フォー・コーナーズ(母なる大地)から採掘されたものだった。
 この恐怖の予言が的中してしまったことにより、世界の終わりが近いと危惧したホピ族は、太古より封印していたホピの予言を世の中に広める決意をしたのだった。
 だが、この恐ろしい予言は広島・長崎の原爆の事だけではなく、現在の福島原発事故を暗示していたようにも思う。なぜなら、原子炉格納容器の形はまるで「瓢箪」のようではないか!?

 本日はその参考画像です。…「灰がつまった瓢箪」に見えますかね?
 で…なんでチェルノブイリは予言してなかったの? という素朴な疑問が。
チェルノブイリ原子力発電所の構造 | 電気事業連合会【でんきの情報広場】
↑これはどんなに頑張っても「ひょうたん」には見えないですな。
 
 ウィキペディアから。
ホピ族 - Wikipedia

ホピ族(Hopi)は、アメリカ・インディアンの部族のひとつ。「ホピ」とは彼らの言葉で「平和の民」という意味である。
(中略)
フォーコーナーズというホピの住む土地にはウラン採掘所があり、広島市長崎市に投下された原子爆弾の原料となったウランは、ここから採掘されたものである。
(中略)
原子爆弾についても予言がされており「灰のつまったひょうたん」と表現されていた。また、「東に黒い太陽の昇るとき、ホピは雲母の家に向かい、世界は滅びに向かう」とあった。第二次大戦の後に、トマス・ベンヤクヤたちホピの長老は環境破壊と地球の危機を訴えるため、ニューヨークの国際連合に向かった。このとき、インディアナ州工業都市ゲーリーの、スモッグと煤煙に煙る空に、黒い太陽が昇るのを見た。そして、ニューヨークに着き、国連ビルを見た彼らは、それが「雲母の家」だと悟り、有名なホピによる全世界への呼びかけを行った。

「灰のつまったひょうたん」に関する原文はこんな感じ。
Hopi Prophecy from Hopi Newsletter

Eventually a "gourd full of ashes" would be invented, which if dropped from the sky would boil the oceans and burn the land causing nothing to grow for many years. This would be the sign for a certain Hopi to bring out his teachings in order to warn the world that the third and final event would happen soon. That it could bring an end to all life unless people correct themselves and their leaders in time.

 福島原発の前には、いろいろな予言があったらしいですよ? エレニン彗星とか。
ホピ族の予言・灰の詰まったひょうたん - 虹色オリハルコン

ホピ族には、人類の現在・過去・未来を語る予言が残されている。長老から長老へと口伝えに伝えられてきたもので、一部は岩絵として今もホピ族の村に残されている。有名なのが、広島・長崎の原爆を予言したものだ。灰のびっしり詰まったひょうたんが太陽をシンボルとする国に空から降るというものだった。灰の詰まったひょうたんと言うと、原子爆弾を連想させる。そして、太陽をシンボルとする国と言えば、日本であるに違いない。この出来事が、世界を破滅させる序曲になると、長老から長老へと伝えられてきたのだった。

ホピ・予言が知られています、アメリカのネイティブインディアンです。 青い星 エレニン彗星のことか?

ホピ族は先祖代々わずかな「とうもろこし」を栽培してそこに暮らしていたのです。 なぜならそこには守らなければならない大切なものが埋まっていたから。 そのホピ族が守ってきたものとは:
 
この地面には、使い方によっては人類を滅亡してしまうものが埋まっている。人類がこれを争いではなく平和に利用することが出来るようになる日まで、この場所に留まりこれらのものを守っていくようにと。 また、空から灰のびっしり詰まったひょうたんが降ってきたら、ホピ族に伝わる予言を広く世界に伝えるよう
 
ところが、アメリカはこの地下にウラニウムの鉱脈があることを発見してその採掘に着手します。 その結果、言われていたホピ族の長老たちは、そのひょうたんが降り、日本の多くの民が死んだこと、またそのひょうたんの中身が自分たちの聖地から掘り出されたものだったと知り、国連などで予言を発表しようとします。

 まあ、エレニン彗星はいつの間にか消滅してしまったらしいですが。(2012年1月22日追記:少し違うみたいです。コメント欄とそのリンク先参照)
In Deep: 消滅したエレニン彗星:そして、彗星の存在の意味
 
 ホピ族の予言についてもう少し成立事情を。
インディアンの言葉(ホピの予言)・ホピ族の長老トマス・バニヤッカ、マーティン・ガスウィスーマから日本人への伝言

1948年、第3メサの長老たちは、トーマス・バニヤッカを含む4人の若者を、自分たちの「耳と舌」となるように選んだ。この4人の若者の役目は、ホピの予言に伝えられている恐ろしく深刻な警告を外の世界に広めることだった。ホピの予言には、「ハウス・オブ・マイカ(国連の意)」と、「灰のつまったヒョウタン(原子爆弾」が登場しており、人間が破壊的な生き方を変えない限り、避けることのできない大火災--- 清め ---が起きるであろうとのメッセージがこめられている。この予言を伝える4人の使者のうち現在生きているのは80代半ばのトーマス・バニヤッカただ一人であり、彼はまた伝統派のインディアン運動におけるスポークスマンの一人でもある。

 …要するに1948年に、過去の神話に「ハウス・オブ・マイカ(国連の意)」と「灰のつまったヒョウタン(原子爆弾)」を追加して若者に伝聞させ、「予言」にしたのじゃないの? という疑惑が。
 1948年以前のホピ族の神話・予言に「gourd full of ashes(灰のつまったヒョウタン)」が出てくるテキストがうまく見つからないんです。ぼくの調べ方が悪いんだと思うんですが、ご存じのかたは教えてください。
国際連合本部ビル - Wikipedia

着工 1947年
竣工 1952年

 新しいものを取り入れていて、ホピ族の長老、なかなかやるな、という感じです。
 
 で、もう一つ非常に気になる問題として、「ウラニウムの鉱脈」とホピ族の居留地なんですが、
アリゾナの夢と核の現実: マスコミに載らない海外記事

1944年から、民間会社やアメリカ政府の主導で、約400万トンのウラン鉱石がナバホの土地から採掘された。放射性物資資源は、原子力開発のために、大いに需要があった。

アイヌ民族情報センター活動誌: 20110915

1942年にはじまったアメリカのマンハッタン計画(原爆製造計画)にウランを供給したカナダ・ノースウエストテリトリーズのグレイト・ベア湖のエルドラド鉱山では、ウランを入れた布袋を担いで運んだデネー・インディアンの多くが肺がんで死亡。同じく、アメリカ・アリゾナ州レッドロック鉱山では約1500人のナバホ・インディアンが死亡。

アメリカの核開発

周知のように、アメリカ合州国の核開発は1940年代以降のマンハッタン計画に始まります。このマンハッタン計画で使われたウランは、ベルギー領コンゴ(現在のナミビア付近)の良質のウラン鉱石を主体に、カナダや米国の鉱山から調達されましたが、先住民の土地であるアリゾナ州のレッドロック鉱山などのウランも原爆製造に使われました。

 ナミビア住民(部族)の予言とか、ナバホ族の予言とかはないの?
 「アリゾナ州のレッドロック鉱山」と、ホピ族サード・メサのホードビラ(ホトビラ)・バカビは100キロぐらい離れてますが…。googleマップで「red rock az uranium」とやると出てきます。で、その南西あたりを探索してみると「ホードビラ」が見つかります。
『ホピの太陽の下へ 女三人、アリゾナを行く』

「地中に眠る鉱物は、母なる大地の内臓であり、それを掘り出しては母親(地球)は生きていけない」という彼らの世界観から、鉱物資源の眠る場所は神聖なのだ。(p67)

ホロスの風: 6月 2011

 全編を通じて、ホピ族の言う「母なる大地の内臓」から取り出されたウランが地上のあらゆる命にとって本質的危険性を孕んでいることが鮮明に一点の曇りもなく描かれていました。

千の昼 千の夜

 今世紀にはいってホピの単純にして不可解な予言がつぎつぎに成就したが、なかでもホピの長老を驚かしたのはとてつもない破壊力を持つ灰のつまったひょうたんが川を煮えたぎらせ、不治の奇病を起こし、大地を焼き尽くすという予言である。1945年夏、ヒロシマナガサキにひょうたん型の原子爆弾が落とされ数十万人の命が一瞬にして奪われたとき、ホピの宗教的指導者たちは黙っていられなくなった。予言によれば大いなる清めの予兆が現れたならホピは予言と教えを世に知らしめる義務があった。
 そこで1948年 新たに予言を調べなおし、広報官としてトマス.パニヤッカ師を任命した。予言はこう告げていた。あなた方は東の海岸に立つ雲母の館に行くだろう。三回 拒まれたとき あなた方は故郷に帰りそこで大いなる清めの日を待つことになる。その館とは国連本部と解釈されたので、同年 ホピの代表者は国連総会に出席を求めたが却下された。二度目の1973年にも拒否され、三度目の1976年になってようやくパニヤッカ師は演説を許された。ホピの予言が注目を集めるようになったのはこれ以降である。

 この「新たに予言を調べ直し」というのが怪しいです。
 
 俺の個人的な感想。
・ホピ族は平和な部族として世界にイメージアピール中。
・ホピ族の長老は「予言」と「すでに起こってしまったこと」を混ぜて伝聞し、「予言」の的中度を偽装。
・1948年以前に「ハウス・オブ・マイカ」と「灰のつまったヒョウタン」について言及しているホピ族の予言はうまくみつからない。
・ウラン鉱山で働かされた人(ナバホ族とか)は、ホピ族よりひどい。元はホピ族の土地だったらしいんだけど、放射能で苦しんでいるホピ族の確認はできなかった。ナバホ族では確認できた。
 
「ホピ族の予言」は、福島第一原発事故のあと、スピリチュアルな人による伝聞の伝聞情報になっていすぎていて、「予言的中」とか言ってる人みると、とりあえずその人が言っていることは「ああ、あまりいろいろ調べたりしていないで人の話を伝えているだけなんだな」と、だいたい全部疑ってかかってもそんなに日常生活に支障はでないと思います。こんなのとか。
ツイート 野呂美加さんのお話について|カナコのブログ

ホピ族の間では昔から「お前の足元にあるものを掘り起こしたら世界が終るから絶対に掘り起こしてはならない」と言い伝えがあった。それが「ウラン」だった。世界中でホピ族が今訴えるために走り出している。(野呂美加さん)

 …本当に「昔から」?
「お前の足元にあるものを掘り起こしたら世界が終るから絶対に掘り起こしてはならない」と言い伝えは、野呂美加さんの呟いたものの伝聞情報以外にはうまく見つかりませんでした。
ホピ・予言が知られています、アメリカのネイティブインディアンです。 青い星 エレニン彗星のことか?

ホピの予言は全て的中
(中略)
この地面には、使い方によっては人類を滅亡してしまうものが埋まっている。人類がこれを争いではなく平和に利用することが出来るようになる日まで、この場所に留まりこれらのものを守っていくようにと。 また、空から灰のびっしり詰まったひょうたんが降ってきたら、ホピ族に伝わる予言を広く世界に伝えるよう

「この場所に留まりこれらのものを守っていくように」って…ホピ族の、ナバホ族に対する抵抗宣言?
 
ぼくと似たような意見の人発見。
ホピ族の予言 | 予言・予知に関する研究

ホピ族の予言が当たっているかどうかはわからないが、私は多くの伝承に共通するパターンに信憑性を感じており、かなり魅力的な予言であると思っている。ただし、マイナス点としては、伝承ということで証拠となる物質が少ない点が挙げられる。いささかニューエイジ運動に都合の良すぎる話に見えることから、伝承ではなく戦後に後から作ったのでは?というのは考えすぎだろうか。

 
 想定問答。
A「ホピ族は福島原発の事故を予言していた!」
B「チェルノブイリは予言してなかったの?」
A「(ぐぬぬ)…原子爆弾は予言していた!」
B「1948年以前にその証拠となる予言見つからないんだけど?」
A「(ぐぬぬ)…とにかく、地面を掘ってはいけないと予言していた!」
B「実際に掘られたのはナバホ族の土地みたいなんだけど、ナバホ族の予言ってあるの?」
A「(ぐぬぬ)…とっ、とにかく、ホピ族は平和を愛する部族だった!」
B「戦争できるほどの数がいなかったとか、戦争弱かったとかいう発想はないの?」
A「(ぐぬぬぬぬぬ)…」
 
 たいていのオーラル・ヒストリーというのは、今の人が思っているより新しいので(古典落語とか日本昔話の有名な奴も、けっこう新しかったりします)、要注意です。神話として「昔この土地の空で、羽を持った神々の戦いがあってなぁ…」と、太平洋戦争当時の日米空中戦のことを語りはじめる太平洋の島の長老も想定できる。