「親は市中引き回しで打ち首に」 鴻池防災担当相(朝日新聞)

新聞記事のリンクはすぐに消えてしまうし、「部分引用」は不適切な引用と思われるかもしれないので、全文引用しちゃいますがご容赦を。
朝日新聞の記事はこちら
http://www.asahi.com/national/update/0711/013.html


 政府の青少年育成推進本部の副本部長を務める鴻池・防災担当相は11日午前の閣議後の記者会見で、長崎市の少年による男児殺害事件に関連し、「厳しい罰則をつくるべきだ。(罪を犯した少年の)親は市中引き回しのうえ打ち首にすればいい」などと発言した。

 また、「(マスコミは被害者の)ひつぎの(傍らの)両親ばかり映し、犯罪者の親を映していない。14歳未満の子は犯罪者として扱われないんだから、保護者である親、(学校の)担任、校長先生、全部前に出てくるべきだ」とも述べた。

 さらに、「信賞必罰というか、勧善懲悪の思想が戦後教育の中に欠落している」「沖縄も長崎も数年前の神戸も、親を出すべきだ。そうすれば親も子どもも今後、気をつける。道徳の規範がない日本国民になってしまったからしょうがない。それは縛らないと。親に自覚を持たせないと」などとも語った。

 こうした発言について鴻池氏は11日昼、内閣府で記者団から改めて真意を問われ、「言葉のあや。例え話です」としたうえで、「子供が罪にならなければ、親が顔を見せて社会におわびをすることぐらいはしないと。出てこなかったら、引きずり出すと僕は言っている」と述べた。

(07/11 12:30)

読売新聞の記事はこちら。
↓「12歳の親 打ち首に」…殺害事件で鴻池防災相

TVに「引きずり出せ」
 鴻池祥肇防災相は11日午前の記者会見で、長崎市男児誘拐殺人事件に関連し、「少年自身の罪が問えないなら、(加害者の)親なんか、市中引き回しで打ち首にすればいい。それが道徳心のある子供を育てようということにつながる」と述べ、親の責任を問うべきだとの考えを示した。

 また、鴻池氏は、「こんなことをしたらえらいことになると自覚させるには、被害者の両親だけを(テレビなどに)映すのではなく、加害者の親を引きずり出すべきだ。親なり、担当の校長なりが前に出てくるべきだ」と強調した。さらに、「信賞必罰、勧善懲悪があまりに欠落した戦後教育を受けた人がパパやママ、校長、政治家、役人になっている」と語った。鴻池氏は政府の青少年育成推進本部の担当閣僚で、今夏に策定する青少年育成施策大綱の責任者。同日の閣僚懇談会では、「大綱はスローガンばかりなので出さないようにしたい。大綱を出せば、国民はビフテキを食べたいのにコンニャクを出されるようなものだ」と述べ、大綱に代えて青少年犯罪対策を策定するための政府の検討会を設置する考えを示した。

( 2003年7月11日付  読売新聞 無断転載禁止)

産経新聞の記事はこちら
↓「補導少年の親打ち首に」 鴻池大臣が問題発言
http://www.sankei.co.jp/news/030711/evening/e12iti002.htm

長崎の男児殺害

 鴻池祥肇・防災担当相は十一日午前の記者会見で、長崎市の種元駿ちゃん(四つ)誘拐殺人事件について、「嘆き悲しむ(被害者の)家族だけでなく、犯罪者の親も(テレビなどで)映すべきだ。親を市中引き回しの上、打ち首にすればいい」と述べた。
 鴻池氏は青少年犯罪やフリーターなど青少年問題に取り組む政府の「青少年育成推進本部」の副本部長で、政府はこの日の閣僚懇談会で鴻池氏を中心に対応策を検討することを確認したばかり。鴻池氏は「勧善懲悪の思想が戦後教育に欠けている」と指摘。「日本中の親が自覚するために担任教師や親も全部出てくるべきだ」とも述べた。

 一方、政府は同推進本部で七月末に、青少年育成の基本理念として「青少年育成施策大綱」をまとめることになっているが、鴻池氏は「スローガンばかりでは国民から批判が上がる」と述べ、大綱をまとめないで青少年犯罪問題だけを取り上げる検討会を設置すべきだと主張した。

 鴻池氏は会見後、内閣府で記者団に「市中引き回し」などの表現について「例え話」などと釈明。さらにこの後、「お騒がせした。これからは『打ち首』は使わない。刑法でできないことは分かっている」などと国会内で記者団に述べた。

どうやら鴻池氏は2003年7月11日午前におこなわれた記者会見中に「問題発言」があったのち、その後真意を問われて釈明(俺には「釈明」と「お詫び」の違いがよく分かりません)をされたようです。記者会見後の記事が読売新聞には出ていなかったので(リアル新聞紙では不明)、ネットの読売の記事だけを見て情報が不足している人もいるかもです(その後載る可能性もあるので、今現在テキストを書いている2003年7月13日午前中での情報)。
俺としては「お騒がせした。これからは『打ち首』は使わない。刑法でできないことは分かっている」と言ってるんで(もし産経新聞の記事が本当なら)、まぁ許してやれよ、という感じです。しかし政治家の仕事は世間を「お騒がせ」することではなく、実務としての立法を黙々とはかることだと思います。鴻池さんも、黙々とはかっていることはあるようですが。世間をお騒がせするのはマスコミの仕事です。
鴻池氏の発言の要旨については、産経新聞が一番くわしいようなので、引用。
↓≪鴻池大臣 発言の要旨≫
http://www.sankei.co.jp/news/030711/evening/e12iti003.htm

 (閣僚懇談会での自らの発言を紹介し)青少年育成大綱原案は七月中に出すことになっているが、長崎、沖縄の事件があり、スローガンばかり出すのでは国民から批判が上がる。出さないで、早急に少年犯罪問題だけを取り上げる検討会を立ち上げるべきだと申し上げた。この時期は、全国民が少年犯罪や教育に過敏になっている。その時に、有識者がまとめた大綱の肉付けを私が出すのはしないと言った。閣議後、福田康夫官房長官に「(大綱を)出さなければならないのなら、担当を辞めさせてもらう」と申し上げた。
 (少年犯罪の最優先課題は)親の責任だ。マスコミの報道の仕方も問題がある。嘆き悲しむ家族だけでなく、犯罪者の親も(テレビに)映すべきだ。全部引きずり出すべきだ。担任教師や親は全部出てくるべきだ。信賞必罰、勧善懲悪の思想が戦後教育の中に欠落している。このままではえらいことになる。日本中の親が自覚するように引きずり出すべきだと思う。有識者が書いたものに政治家が味付けして(大綱を)出すのが大きな間違い。最初から政治家がやるべきだ。出せというなら辞める。それだけの話だ。
 (少年法改正について)今の時代、厳しい罰則をつくるべきだ。(加害者の)親なんか市中引き回しの上、打ち首にすればいい。大綱で道徳心のある心を育てようなどと言っている場合ではない。(自分が)青少年担当である限りは(大綱は)出てこない。出したかったら、おれの首を取れ。
「出したかったら、おれの首を取れ」というのが私的にはナイス発言ですが、そこまで大綱を出したくない理由は、この記事だけではよく分かりませんでした。
ところで犯罪記事に限らず、すべての新聞記事で俺が疑問なのは、記事を書いた「新聞記者」や、事件を撮影した「カメラマン」の個人名が出ていないことです。記事の責任を個人で負うことがなく、匿名で特定個人の人権に触れるようなことを書くレベルでは、いつまでたっても「2ちゃんねる」の匿名テキストと、俺にとっては大差ありません。「全部引きずり出すべきだ」と言う場合は、犯罪者の親をテレビに出す場合には、その番組のプロデューサー・ディレクターからマイク・TVカメラ担当者まで名前を出すのが、俺には正しいように思えます。
2ちゃんねるで加害者(と思われる人物)の実名その他個人情報を公開している人間に限らず、「個人情報を公開した人間」の罪、というより責任としては、その人間の個人情報をさらす、ということを義務づけるのはいかがでしょうか。