奈良県に部落解放同盟がいくつもあるなんて知らなかったよ

こんな新聞の記事から、
「市長交渉で質問」と圧力 入札制度変更で病欠の奈良市職員北海道新聞

「市長交渉で質問」と圧力 入札制度変更で病欠の奈良市職員  2006/10/25 09:16
 
奈良市の男性職員(42)が病気休暇・休職を繰り返す一方、部落解放同盟の幹部として活動していた問題で、この職員が入札制度改革をめぐり「(解放同盟と市長との交渉で)質問させてもらう」と市側に圧力をかけ、実施を延期させていたことが24日、分かった。
入札担当者は「圧力と感じた。延期の判断が適切だったとは思わず、情けない」と話している。解放同盟奈良県連は「事実関係を調査し厳正に対処する」としている。
これまでの市の調査で、職員の妻が入札参加登録業者の建設会社の代表者を務めていることが判明。職員も経営に関与していた疑いが出ている。
市総務部によると、市は今年4月、談合の余地を少なくするため、郵送での入札を10月から一部導入することを決定。5月に登録業者に通知した。
職員は8月に担当者を訪ね「これまでの説明と違う」と、制度変更をしないよう要求。担当者が応じない姿勢を見せると、解放同盟奈良市支部協議会が市長らと毎年11月ごろに行っている交渉を引き合いに出し「質問させてもらわんといかんな」と話したという。
市は結局、制度の変更を延期。この職員にも連絡したという。
市は職員を懲戒免職にする方針。

(太字は引用者=ぼく)
「解放同盟奈良県連」が、どのようなことを公式サイトで言っているか、知りたくなりました(興味のある記事が見つかった場合は、必ず関係者のサイトを探してみるのです)。
で、こんなのが見つかったわけですが。
奈良県部落解放同盟支部連合会
奈良市の「休職職員」の「同盟幹部」名刺と営業活動についての見解

奈良市の「休職職員」の「同盟幹部」名刺と営業活動についての見解
奈良県部落解放同盟支部連合会
理事長 山下 力
 
奈良市環境清美部収集課の職員Aが、過去五年間にわたって給与を満額受けながら病気休暇・休職を繰り返し、その間、たった八日しか出勤していなかったこと、さらに職員Aが病気で休職中にもかかわらず家族が経営する建設業のことでしばしば市役所に出入りしていたこと等が大きくマスコミで取り上げられています。職員Aが部落解放同盟「川口県連」傘下の古市支部長であり奈良市支部協議会副議長の肩書きがあることが報道されて以降、事務所にマスコミ等から問い合わせが殺到したり、われらのNPOなら人権情報センターのホームページへ怒りや非難、中傷や誹謗に満ちた書き込みが続いています。われらは、職員Aが「わが同盟の組織人ではない」と突き放して事足りるとする立場はとりません。われらは十数年まえから「川口県連」と袂を分かち、行政依存を排し、自立と連帯を基調とした運動方針に大胆に転換してきたつもりです。しかし、われらが仲間から第二の「職員A」は出ないとの確信が持てるほどに新しい運動方針が浸透していないからであります。われらが内なる問題として切開し、一定の見解を明らかにしたいと思います。
まず第一は、市職員の休暇・休職のとり方についてであります。この間の一連の報道に接して、われらの周辺でも「公務員はエエなあ」「なんで、そんなことできるの」の声があがりました。市民の目線で対処してもらうしかありません。過去の「同和対策」を引きずっている問題があるとすれば、現業職の採用に係る情報が広く市民に開かれたものとなっているか否か、です。京都市大阪市の問題とも共通しますが、1970年代後半には部落の子どもらの教育の機会均等が保障される制度が整い、部落民への就職差別はほぼ解消されています。「現業職は部落の人」という枠組みをはずすことです。
第二の問題は、病欠中に、「支部長」「支部協議会副議長」の肩書きをひけらかせて市との行政交渉に参加したり、いわんや、妻名義の建設業の仕事で市役所に出入りするなどは法律違反も問われかねない言語道断な行為です。行政の窓口も運動体の指導部も見てみぬ振りをしてきたとしたら双方とも解体的な出直しが求められるのではないでしょうか。
第三に、指摘しておかねばならない観点があります。いまや、同和対策、同和教育と特化して対処しなければならない課題はなにもない、ということです。確かに、部落に対する偏見や差別意識は残存しています。しかし、「‘93総務庁実態調査」に明らかなように、20歳代で「夫婦とも地区の生まれ」のものが四分の一しかありませんでした。部落内外の結婚は90%までになっています。また、こどもらの「低学力傾向」「高校進学率の較差」や「高校中退率較差」などは、「母子・父子家庭」「要保護家庭・準要保護家庭」「ニュー・カマー」にも共通する課題です。十年前に60万世帯であった生活保護世帯は、昨年10月に100万世帯を突破しました。部落に特化した施策は、大局を見誤り、“逆差別”を煽ることにしかなりません。奈良市は同和対策と同和教育を完了し、人権施策・人権教育として再出発すべきです。
 
2006年10月25日

(太字は引用者=ぼく)
まぁ、いまさらなんですが、奈良の「部落解放同盟」には2つ(正確には3つ。これは後述します)があるということがわかりました。
蛙独言: 山下さんの本から思うこと

奈良県の事情は、ぼくは知らない。
現実として、同盟中央本部に属する「川口県連」と、それを割って出た「山下県連」の二つがあるという風に一般には言われる。
言うに言えない苦労話もあるのだろう。
最後まで、「分裂回避」の努力もされたのだろう。
ぼく自身はどちらに与するということもない。
残念な話だと思うだけだ。

(太字は引用者=ぼく)
で、今回問題になったほう(川口県連)の公式サイトはこちら。
部落解放同盟奈良県連合会
こちらの代表者は「川口正志」さんという人で、最初に挙げた「奈良県部落解放同盟支部連合会」の代表者は「山下力」さんと言います。
どちらも県会議員としてのサイトがあります。
奈良県議会議員 山下 力
奈良県議会議員 川口正志 公式HP
山下さんのプロフィールを見ると、1993年に分裂したみたいです。
プロフィール 奈良県議会議員 山下 力

1993年 (平成5年) 部落解放同盟奈良県連合会再建大会
(委員長に就任)

あと、山下さんは民主党で、川口さんは元社民党だったみたいです。
川口正志 プロフィール

2003年 社会民主党を離党、無所属に。

山下力さんはいろいろ本を出しているみたいです。
山下力『被差別部落のわが半生』平凡社

組織名変更
「一九九三年の「山川戦争」以来、奈良県には二つの「部落解放同盟奈良県連合会」が存在し、川口、山下と二人の委員長が存在するようになった。
二〇〇一年四月の第四十二回解同奈良県連大会において、私たちは「六五答申」路線のみならず、全国水平社以来の基本路線をも根本から見直すという画期的な基調報告を明らかにしたが、同時に組織名を「奈良県部落解放同盟支部連合会」に変更した。
 なぜあえて名前を変えたかといえば、部落解放運動も国政同様「中央集権」が行き過ぎて、その弊害がひどくなっていると考えたからである。運動体も地域地域の実情に合わせてキメの細かい「地方分権」的な運動が必要なのだ。各「支部」での地域活動こそが最も大事だという考え方を強く打ち出したいと思ったのである。私は実は「部落解放同盟」という名前も変えてもいいと思っていた。」(206−207頁)

川口さんに関しては、こんなのも。
被差別部落のわが半生 : nanayaのひとりごと -北国tv(キャッシュ)

「私の事を利権屋と言うけれども、私は部落の人が全員、ハタから見てうらやましがられるような金持ちになって欲しいと思っている。」といった川口委員長と、運動体のあり方に疑問を持っていた山下氏は対立。それが山川戦争という形で組織の分裂に至った。

ちょっとこの『被差別部落のわが半生』(山下力・平凡社)をちゃんと読んでみないと何とも言えないのですが、また読んでみたとしても山下さんの一方的な意見・考えが分かるだけかもしれませんが、川口正志さんは割と「利権を考えていた人」ということになるんでしょうか。
こんなのも、川口正志さんのところにはリンクとかあったりするので、
奈良県部落解放企業連合会
支持組織的には金があったのでは、とは思います。
山下力さんの意見は、たとえばこんな感じです。
大阪・京都の「同和」排除のキャンペーン

連日におよぶ、大阪・京都の「同和」対策をめぐる報道を見るたびに恥ずかしさと不愉快な思いが入り混じり、正直、滅入っています。京都市の問題は、現業職員の相次ぐ不祥事が公務員としていかがなものか、ということであったと思います。市長が決意として述べているように「民間委託」に切り替えてなにが変わるというのでしょうか。不祥事が減るわけではありません。ふとどきものが民間人で、市の責任が問われなくなるだけです。また、採用窓口が運動団体に一本化してきたことで指導や管理ができなかったというのも詭弁ではないでしょうか。採用にかかわって問題があるとするならば、「同和地区」住民が今日も厳しい就職差別にさいなまれているのか、否かについての京都市の現状認識にあると思います。少なくとも、1970年代の半ばには京都の「同和地区」の青年も地区外と同様に教育や就職の機会を等しく保障されていたはずであります。なのに、現業職の採用窓口が運動団体に今日までだらだらと一本化されてきた放漫で無責任な態度が弛緩した職場環境をつくってきたのではないでしょうか。
大阪の不祥事の本質は徹底した情報の非公開にあると思います。もう十年もまえのことでありますが、奈良県が同和対策の諸施策をすべて県の広報紙である「同和なら」に掲載している事実を知って大阪の公立大学の教授がびっくりしていました。「私は長い間、大阪市の同和対策協議会の委員をしてきましたが、このような同和対策事業が列挙された資料を見たことがありません」との話を聞いて、むしろ私がけげんに感じたものです。また、こんなこともありました。返済不要の給付で制度化された同和対策奨学資金が’80年代半ばに貸与制度に変わりました。折角縮小してきた進学率の較差がまたぞろ開くのでは、との心配から私たちも県や国と激しくやりあったものです。しかし、結局は貸与になってしまったのですが、なぜか大阪と京都は今日まで返済不要の実質給付が続いてきています。このへんのからくりは議会も市民も知らされていないでしょう。もともと、どんな施策や制度にも必ず根拠があるものです。しかし、周囲の状況は刻々と変化し、そのつど見直しが必要になってきます。けれども情報公開のないところではその精査がなされず、運動体も行政も、慣れこのスズメとばかりに惰性で事を処していきます。ここから堕落と腐敗が派生します。
マスコミもいまいち事の本質をえぐってくれないかなー、とため息をつきながら新聞・テレビをみつめる今日この頃です。

まぁざっと、伝聞情報的な感じで面白かったのは、このサイトのテキストでした。
So-net blog:ブログ鷹森(2005年5月)

・解放同盟の支持政党、選挙協力
また、民主党HPの支持団体として正式に記載されているが、京都では自民党野中広務(現役当時)に選挙協力するなどの過去実例から、利害関係に合わせて時には無節操に、時にはかつての敵(野中氏はその昔、解同脱税疑惑を国会で言及した事があった)でも、どことも接触接近するし、利害損得で簡単に裏切るという感じはある。なお、現在の正式支持政党は民主党と思われるが、元々社会党系→社民党系と呼ばれており、過去の関係から、社民党とも鉄壁の盟友関係と見て良い。ほぼ日本共産党以外は全方位外交と見て良いかも知れない。
・解放同盟の「敵」と「味方」
1985年から上杉委員長訪朝に始まり、現組坂委員長も朝鮮総連について守った事があり(※資料参照)、その件も含めて北朝鮮に訪朝し、金正日総書記と面会も果たし協力を約束している事から、朝鮮総連および北朝鮮と極めて親密な関係にあるのは確実と思われる。
また、現在朝日新聞とは友好(盟友?)関係と思われる。NHK対朝日戦争の発端となった本田記者とも仲が良いようだが詳細不明である。なお、解放新聞社および本部ほか数地方連絡会・支部バウネット女性国際戦犯法廷の正式な賛同団体として名を連ねている。
窓口一本化と呼ばれる同和行政の独占および排他攻撃性のため、他のほとんどの同和団体と敵対している(ただし、末端同士では利害接触、癒着はあるかもしれない)。 日本共産党とは永く敵対関係にあり、マスコミが沈黙を守っていた関係から、解同批判はかなりの部分が日本共産党および全国人権連(全解連)によるものが多い。これら、日本共産党および全国人権連(全解連)に対して「デマ」「事実無根」「利権あるいは党利党略のための信じられない行為」と、すさまじいまでの誹謗中傷を解同は行っているが、これらの敵対勢力以外にも内部からの批判「同和は怖い考」通信があるため、敵対勢力の批判がまったく事実無根のデマであるとは考えにくい。

なんとなく、ネット右翼おおはしゃぎ、というような感じのテキストですが、まぁそういうことです。
で、奈良にあるもう一つの「部落解放同盟」なんですが、それはこちらの団体の支部です。
部落解放同盟全国連合会
部落解放同盟 奈良県 ○○支部」とかやると検索で見つかるわけですが、以下の紹介で分かるとおり、
部落解放同盟全国連合会の紹介
ちょっとぼくのような半端な市民には、言及するのが難しい団体のようです。