何がびっくりしたかって、「青山学院高等部入試問題」を問題にした島尻安伊子さんが「与党」で当選した、ということでした

 これは、以下の日記の続きです。
愛・蔵太の少し調べて書く日記 - 沖縄那覇市の(たぶん)高校生・島尻○○くんの今年の春はどうだったのか、思いを馳せてみる
 
 以下の記事から。
参院沖縄補選 与党推薦の島尻安伊子氏当確<4/22 21:57>日テレNEWS24

 夏の参議院選挙の前哨戦として注目された沖縄の参議院補欠選挙の投票が22日に行われ、与党推薦の島尻安伊子氏(42)が、野党推薦の狩俣吉正氏(57)を破り、当選確実となった。
 今回の選挙は、自民・公明の与党が推す島尻氏と、民主・共産などの野党が推す狩俣氏との事実上の一騎打ちとなった。島尻氏はアメリカ軍普天間基地の移設問題については県内移設容認の姿勢を示す一方、子育て支援策の充実などを前面に訴え、戦いを進めてきた。
 今回争われた議席は、元は野党議員の議席で、今回、与党側が議席を奪った形となる。島尻氏は元那覇市議で、沖縄では初めての保守系女性国会議員となる。

 思い出して来たぞ、この人。
 ぼくの関連テキストは、以下のところなど。
愛・蔵太の少し調べて書く日記 - 沖縄那覇市の(たぶん)高校生・島尻○○くんの今年の春はどうだったのか、思いを馳せてみる

 沖縄・那覇市の市議会に、島尻安伊子さんという市議会議員がいます。
 と言っても、もはや誰の記憶にもあまりないとは思いますが、青山学院高等部の英語の入試問題で「戦争体験の話をするひめゆり部隊の人の話は退屈」という記述があり、それを問題にした議員です。

 そろそろみんなの記憶にもよみがえってきましたか。
さるさる日記 - 勝谷誠彦の××な日々。(2005年6月22日)

そもそもは島尻安伊子なる那覇市議が息子の受験勉強の過程であの問題文を見付けたらしい。それを人づてに聞きつけた沖縄タイムスの記者が記事にした。この両者は問題文の全文を読んだと言っている。問題はそこからである。『ムーブ!』の取材では当のひめゆり関係者はなんと問題の全文の和訳を読まないままにあの抗議の記者会見を開いたのだ。

 一応、那覇市議会での島尻安伊子さんの質疑応答部分を会議録から転送してみます。
那覇市議会[会議録検索]
「平成17年 6月定例会−06月09日-05号」のものです。

◆島尻安伊子 議員 
 ご答弁ありがとうございます。
 実は、これが青山学院高校のことしの入試問題なんですけれども、たまたま子供が解いてほしいというふうに持ってまいりまして、読んだら大変な内容だったものですから大変に驚いて、皆さんにも知っていただきたいと思って、きょうはこれを読み上げたいと思います。
 ちょうど戦後60年に絡めての話で、この作者が修学旅行で沖縄に来たときの話なんですけれども、抜粋して読み上げたいと思います。
 「その後、私たちはひめゆり平和祈念公園に移動した。そこで、ひめゆり部隊で生き残った老女の話を聞いた。それはショッキングで、戦争についての強いイメージを持った。しかし、正直言うと、それは私にとってつまらない話で、彼女の話に私は疲れてしまった。彼女が話せば話すほど、ここに来る前に行った防空壕での強い印象をなくしてしまった。
 察するところ、彼女は何度も同じ場面で、何度も同じ話をして、話すことに慣れてしまっていることがわかる。彼女の話はとても耳慣れた感じで、それはまるで母親が赤ん坊を寝かすときに話す物語のようだった。もちろん、何人かの友達は感動していたので、彼女の話が何の意味も持たないとは言えない」。
 文章の中にこういうところがありまして、さらに、この長文の内容を問う問題がありまして、「なぜ作者は、ひめゆり平和祈念公園で聞いた話が好きではなかったのですか」という設問がありました。その正解は「なぜなら、彼女の話し方が好きではなかったからです」と。こういうところに文章に丸をつけるという、丸なのか、それを選ばせるのかちょっとわかりませんけれども、こういう問題に偶然ぶつかってしまいました。
 戦後60年がたちまして、戦争風化への強い懸念や、平和教育の一層の充実など、いろいろなことが取りざたされておりますけれども、こんな文章、ましてや、これが高校の入試問題で出されていたということ。それで、こんなお粗末なものが出てくるというのは、大変に残念といいますか、腹立たしさを感じます。
 この節目の年に、今一度原点に立って、改めて沖縄から何を、どのように発信していくか見直す必要があると思います。
 ややもすると、感情に流されてしまいがちな平和教育ではありますけれども、感情だけではなく、理論的に平和へのプロセスを研究することが必要で、事実を事実として伝えていくことが必要であると私は考えています。
 また、日本国唯一の地上戦が行われた沖縄ということは、アジアにおいても日本という枠にとらわれずに、平和について語るパスポートを持っているということで、つまり、同じ戦争体験や同じ境遇を持つ者としての共感を持ちながら話ができるということでございまして、これはほかの46都道府県ではできない、沖縄だけしかできないことであると私は考えています。
 ぜひ、これらのことを今一度認識して、翁長市長には、この沖縄の県都那覇市の市長ということで、深い根を張って頑張っていただいきたいと思います。これについて、市長の見解をお聞きしたいと思います。

 一応事実誤認の指摘だけしておくと、硫黄島でも地上戦が行われたので、沖縄は「日本国唯一の」ではありません。(追記:千島諸島と南樺太でも地上戦はありました)

翁長雄志 市長 
 島尻安伊子議員の再質問にお答えいたします。
 今定例会で、平和を風化させてはいけないというような質問が、きのう、おとといございまして、私は日露、日清などもとらえながら、今回の太平洋戦争についてのものは、本当に先輩方もよくそれを伝えようとしているし、若者もそれをよく受け継いで、風化させないように頑張っているという答弁をしたわけであります。
 今、島尻議員からのこの文章などを読みますと、ひめゆり平和祈念資料館で本当に体験からもって、そういった戦争の悲惨さというのを訴えていることについて、こういう感想があったということを聞きまして、私も今愕然としているところであります
 想像し得るものでありますけれども、しかしながら、そういったものが、やっぱりそういった方々の思い、あるいは背景、そういったところに思いが至らない中で感想が出てくるということ自体が、やはり今風化しているんだなというようなものを強く感じまして、今、若い人たちにつなげていく努力を相当やってはいるようでありますけれども、ぜひともこの問題を本質的なものを見つめながら、いかにして沖縄が体験をした平和への思いというものを発信できるか。改めて、県都那覇市の市長として頑張っていきたいと思っております。

 まぁ、以上のものは参考テキスト、ということで。
 しかしつくづく考えてしまうのは、民主党の県連代表代行だった島尻安伊子さんの夫の昇さんと、青山学院のテストを参考に高校受験を頑張った島尻安伊子さんの息子さんのことでありました。